持ってはいけない疑問

サウナの中にいるようなこの頃。普通ならは徐々に慣れていくのだろうが、50日間ヨーロッパにいたためにこの環境になかなか入り込めずに困っている。

ふと、楽器に関して、持ってはいけない?疑問にとらわれてしまう。

「日本の環境で、西洋楽器をしっかり維持し育てることはできるのか?」

かつて自分の楽器だったジルベールの成長ぶり、ブパタルで1ヶ月弾いたペーターの楽器、そして帰ってきて弾いた現在の楽器バール。

「バール」に逢った時のことは、いまでも鮮明に覚えている。ナンシーのCCAMの楽屋。一音だして身震いした。それから10年経ち、その楽器が今部屋にある。その身震いした音を今も持っているのか?

ジルベールの成長には耳を疑った。2年前にバール宅で再会したときは、これほど感じなかった。ということはこの2年での急成長なのか?特に低音域での充実には驚くほか無かった。この2年以前は、日本の環境から脱却するための期間だったとも考えられる。

そしてペーターのセカンド楽器。1ヶ月丁寧に弾き込むとどんどん答えてくれる。かつてのこの楽器を知っている多くの人が音の充実を口にした。やはり低音域の充実ぶりは見事だ。(余談だがペーターのメイン楽器は今、外国の娘さんの所にあり、信頼できる人には譲っても良いというのでセバスチャン・グラムスが預かったが高価なので諦めた、と言う話を書いた。その値段を聞くと安いこと!!日本での楽器の値段は異常だ。)

私は出来るだけ大事に大事に楽器を維持しているつもりだが、この種の成長があるとは言い難い。それどころか、かつての音が無くなってしまっているのではないかという危惧に苛まれる。

イカンイカン。つきつめてはいけない種の感覚。移住しない限り、どうなるものではない。

ブパタルの写真家のフリッカー↓に楽しい写真がありました。気分転換。

larolf

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