即興の対義語は何?
音楽で言えば作曲。書かれていないものが即興で、書いてあるものが作曲。
そこに考えが留まっているから頭が先に進めない。
即興を何か不思議な現象にまつりあげているだけ。
即興がなしうるものは「意味」からの離脱。
「当たり前のもの」を相対化させる力。シンプルに言えば、即興は『発見』。世の中を成り立たせているものに対する新たな視点。世の中をとらえるオルタナティブな方法。
技を際立たせ、自分の名前を貼り付けるやり方に対して、匿名に行く方向。
だから、即興の対義語は『意味』でありえるし『グローバリゼーション』でありえるし『常識』でもあり得る。作曲や作品でも、即興に含まれるものもあるし、含まれないものもある。「即興」っぽい道具や雰囲気、方法、無方法、やけくそ、ひまつぶしは全く関係ない。
誰にでも出来る。技術をたくさん持っている人の方が迷いやすい。そういう人達は「即興」を「演奏」するとき、身体の限界を超える方向を目指すことがある。そして身体と心を壊してしまう。その「ギリギリ」は共感を呼ぶけれど。
野村喜和夫さんの「現代詩作マニュアル 詩の森に踏み込むために」(詩の森文庫・思潮社)に何回も強調されて書かれているのは「詩を読む。詩を書く。それは言葉によってわれわれのこの生を確認し、捉え直し、あるいはさらに更新し、生き直していくことにほかなりません。」
同じだ。あらゆるジャンルで同じはずさ。