箏カルテット・螺鈿隊とのリハーサルが進んでいます。
リハーサルと本番の区別がつけられない私にとって、きびしくも楽しい時間です。リハーサルであってもその場での「正解」の音の発見があったり、思いも寄らぬ「ひらめき」が来たりすると、もうそれで充分満足してしまい、譜面に書くべき注意事項・段取りを完全に書き忘れていたりするわけです。当然、覚えていません。
それを優しく諭してくれる若いメンバー。ありがとう、ありがとう、もひとつありがとう。この20年間いくつもの想い出のある蛇崩の箏エリアで、今日は7時間みっちりでした。
しっかりと本来の良い音を出せるのに、あえて、情けない音を出してもらったりすると、本当にいろいろなものが見えてきます(聴こえてきます。)コントラバストリオの時は、弓の毛でなく、柳の枝で弦を擦って弾いてもらいました。当たり前のことを疑うこと、が発見の一歩であり、耽溺から逃れるハシゴなのです。ハシゴを登って、窓をあけると見たことのない景色が広がっていたりします。その結果、「良い音」も全く違う視点から捉えることができます。
ベーストリオでもやった「演奏しない・できない」演奏、自分のテクニックが使えない演奏も試みています。例えば、弓を使っての演奏、それは弦楽器の弦楽器たる所以を教えてくれます。糸に吊した棒がランダムに弦に触れる音。予想を遙かに超える休符によってメロディをメロディにしないとか、スティックを使っての箏の打楽器化、ベークライト板での擦る音。さまざまな音がひしめいています。オンバク・ヒタム琉球弧編は初めて三線で奏でられます。うれしいです。
「タンゴ・エクリプス」もやっているのですが、この曲がだんだん邦楽の曲に聞こえてくるではありませんか。箏でバッハ、とか、尺八でモーツアルトなどは、大変苦手なものです。なのになぜ?あえて箏でタンゴと思ったのは17絃でのリズム作りです。これがだんだんタンゴのエッセンスへ接近し、そこから邦楽のエッセンスへと逆流してきたのでしょうか? 「あると思います」
タンゴ自身が、ヨーロッパ・南米・アフリカ混血の音楽であり、ヨーロッパクラシック音楽への尊敬と劣等感と優越感とが混ざって力強くなってきました。さまざまなエッセンスとの遭遇と反射のなせる技だと思います。思いも寄らぬタンゴというものがあり得る、という仮説。
9月の公演もあるからいいや、という訳でもないでしょうが、予約がやっと「つばなれ」(一桁から二桁になること。やっつ、ここのつ、とう。と「つ」が離れる)ということ。損はさせませんぜ。ご来場お待ちしておりま~~~~~~~~す。
『徹の部屋 vol.3 オンバク・ヒタム 四匹の竜と』
日時:7月17日(金) 18:30open /19:30start
場所:Space&cafe ポレポレ坐 (東中野駅徒歩1分)
料金:前売3000円/当日3500円 (要ワンオーダー)
出演:齋藤徹(コントラバス)
螺鈿隊(箏、17絃、ほか)
ご予約:ポレポレ坐 tel 03-3227-1405/event@polepoletimes.jp