教育用音楽

ブラジル音楽の話をするときの私は明るくて良い、と指摘されたことがあります。げにそうかもしれませんな。自室でのコントラバスの練習?で、秋・冬・春はバッハの無伴奏チェロなどを弾きますが、湿気あふれるちょうど今の季節から夏にかけてはバッハは無理、その代わりに、ピシンギーニャなどのショーロ(ブラジルの器楽)を弾いたりします。私にとってバッハとあまり違わないのです。

ブラジルの子供達用に作られた二枚のCD。これがまたまた私のストライクゾーンど真ん中でした。なんせ、シコ・ブアルキ集と街角のクラブ集。シコは私のフェイバリットだし、「街角のクラブ」とは、ミルトン・ナシメントが若かった頃のミナスでの仲間達との音楽で、まさに青春の音楽です。

この街角のクラブから、ロー・ボルジス、ワグネル・チゾ、トニーニョ・オルタなどなど輩出しています。「街角のクラブ」名義で二枚CDがありますが、ミルトンのアルバムというよりは、ミルトンとロー・ボルジスとの共作という面があります。

でもって、この二枚のCDは二人のピアニストに任されました。街角のクラブ編はかつてブログで取り上げたアンドレ・メーマリ、シコ・ブアルキ編は、ベンジャミン・タウブキン。まさにまさに私が注目しているブラジルの二人のピアニストなんだぜい。

RECOMENDADO POR EDUCADORES(教育用推薦)とジャケットに書かれているように、子供達にこの豊かな音楽を提供しているわけです。当然、歌詞が印刷されていて、みんなで歌うことは基本でしょう。小さくメトロノームが聞こえる曲があったり、サンバのリズムをみんなで取るように促している感じだったりしています。ピアニストも自分の音楽を世に問う、という感じが皆無。子供達とこのすばらしい音楽を分かち合おうという気持ちがあふれているようです。ピアノの単旋律でメロディーを取ることは、本当の実力が出てしまい、普通は避けるのでしょうが、楽しそうに歌っています。

ベンジャミン・タウブキンさんを初めて知ったのが、ジョビン・シンフォニコというDVDでした。ジョビンの曲をサンパウロ交響楽団が尊敬をこめて演奏、リズムも良いです。ジョビンの音楽の多面性もうまく伝えています。フランス近代音楽の和声をうまく使っている西洋近代音楽としてのジョビン(決してジャズの影響を受けているのではありません。)ブラジルのシャーマニックな音楽「ウルブ」この演奏は、やっぱりというか、さすがというか、ミルトン・ナシメントが歌っています。作曲の段階から、想定されていたと言うことです。ちなみにこの「ウルブ」は、アメリカのショービズで成功したジョビンが、レコード会社にたくさん売れたご褒美に「好きなものを作って良い」と言われて作った野心作ですが、一番売れなかったそうです。象徴的です。

ブラジルの子供達は幸せだなと単純に思ってしまいますがしかし、こういうCDが機能する恵まれた環境と真逆の荒れ果てた環境で暮らす子供達は何倍もいるのも事実でしょう。いずれにせよ、後世に残すべきすばらしい音楽がドンドン生まれていて、すばらしい演奏家がいて、こういう企画があるということだけでも、「音楽が生きている」証拠だと思います。音楽はパブリック・サービスであるべきです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です