徹の部屋vol.2 終了

ご来場のみなさま、共演者、スタッフ、各地で想像してくださった方、誠にありがとうございました。(大)盛会のうち、無事に「徹の部屋vol.2」終えることができました。感謝・感謝・感謝。

相次ぐヨーロッパ公演のキャンセルで、長期間この仕事に集中できたことは本当にラッキーでした。瀬尾さんが別府・混浴温泉現代アートプロジェクトから東京へ、二人で4時間、三人で11時間のリハーサル。リハーサルと言っても譜面の読み合わせだけでは、何の意味もないような音楽なので、いちいち、どういう動機で、どういういきさつで、何を求めて、どういう経過があって、などを説明しながらの時間。内山さんはこの二ヶ月毎週5〜6時間通い詰めてくれました。

世の中に広まっているガット弦はオックス弦が多いのですが(黄色っぽいのはだいたい牛腸)、今回三人とも使用しているのは、シープ弦(羊腸)です。 MUSICA ANTIQUQ SHONAN http://coastaltrading.biz/が独自のルートでイタリアから仕入れてくれています。オックスより粘りけがあり、倍音も雑味も、私には好ましい。茅ヶ崎からわざわざ社長の野村さんが駆けつけてくださいました。(遠いと言えば、旭川、広島、北九州のかたも・・・もっと遠いですね。ありがとうございました。)

何回も何回もシミュレーションしましたからだいたいが予定の通りに進行しましたが、第二部が予定より随分長くなってしまいました。これもライブということでしょう。

瀬尾さんは、かつて私がソロCD「invitation」などなどの録音の時に使用していたコントラバスを弾いています。もう完璧に「彼の」楽器になっていて、かつてのご主人様には他人顔。内山さんの楽器は、トーマス・マーチンの小ぶりの新作。トムは演奏家でもあるので、細かいところにまで気の行き届いた、実に良く鳴る楽器です。http://www.thomasmartin.co.uk/  「遠い祭り」のリハーサルで三台を三角形に並べて演奏することにすると、急に、より儀式っぽくなり、「音楽」のもともとの役割に近くなっていくような気に囚われてしまいました。オンバク・ヒタムの演奏には、逝ってしまった人たちの想い出も多くつまっていますので、なおさらかもしれません。

タンゴにおけるコントラバスの役割は、すべてのコントラバスの入ったアンサンブルの中でも特に重要です。当然、リズムを提供しますが、音楽全体を舵取りするほどの重要な役割があります。「すべてのアンサンブルでも同じだ」と言ってしまえば、元も子もありませんが、1つのジャンルとして強固に確立しているのがタンゴだと思っています。歴代のコントラバス名プレーヤーが創り上げたものですが、ピアソラキンテートのキチョ・ディアスは特別。ピアソラが「革命家」という曲を捧げています。(この日も聴きに来てくださった畏兄・高場将美さんから聞きました。)これからの若いコントラバスプレーヤーにも、どうどうと胸を張って演奏していってもらいたいものです。

韓国音楽のところでは、三人でチン(韓国の銅鑼)を叩く場面を作りました。今回初めてチンに触れる二人は、すぐにこの楽器に惚れ込みました。(楽器自体も、特注のとても良いものです。)決して声高に主張せずに、しかし、リズムをしっかり支え、リズムになりきることで、全体が生きてきて、空間を創る。(クッコリとオンモリをやりました。)「これはまさにベースの役割だ」と二人とも瞬時に理解したようです。内山さんもチンの大ファンになってしまい、毎回コントラバスを肩に、チンを背に、電車で通ってきました。「きょうも朝ドラしてきました。」なんて言っていました。毎日、コントラバスを弾く前にチンを叩くことが日課になったそうです。チンで、自身の身体のチューニングをすることを発見したのでしょう。

「徹の部屋vol.3」では箏アンサンブルで近い内容の演奏を試み、9月には合体させる予定です。是非、長い目で見守ってくださいませ。

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