流行り歌を知ろうと、「歌と音でつづる明治」「大正の流行歌」「懐かしの浅草オペラ」「ムーラン・ルージュの灯は消えず」「唖然坊は生きている」「唄うエノケン大全集」を聴く。まず懐かしい名前に様々な想い出がよみがえる。益田喜頓、友竹政則、楠トシエ、田谷力三、熊倉一雄、天地総子、倍賞千恵子、若原一郎、坂本博士、有島一郎などなど。
エノケンが「ダイナ」や「月光値千金」、「南京豆売り」を歌っているのはしっていたが、「暗い日曜日」を歌っていたりして、広く世界の音楽を盛んに受け入れている事がわかるし、1936年の録音を聴いても、伴奏しているジャズバンドがかなり高水準だ。サッチモの “west end blues” が1928年だから、ほとんど同時進行していたわけだ。南里文雄さんなのだろうか?クレージー・キャッツ、ドリフターズへ続く流れ。そしてそこで絶えた。
「骨の髄にググッと来る歌」、何年ごとかに読む小泉文夫さんの本から今回印象に残ったフレーズだ。アクセントを無視した「ニューミュージック」がいかに高度な音楽でも、通り過ぎてしまう、50歳過ぎて演歌の良さがわかったという文脈。演歌のヤマ場では、三連音符でコトバを強調することが多い。そのあたりでグッとくるのか?
邦楽の人たち、お箏や尺八の人たちで(ある年齢以上の人たちに限るのかどうかは定かでない)、どんなにゲンダイ邦楽が得意な人でも、自然に演歌や民謡がうまいようだ。小指を立ててマイクを握る。私も今年ペンタトニックを使った曲を書いたが、練習もスムーズに運ぶし、受けも良いようだ。
歌を作る時には、避けられないコトバの問題。立川談志家元は稽古を付けるとき、自分の落語の「メロディとリズム」を徹底的にまねさせると言う。
歌作りには、結構時間がかかりそうだ。なんとか、来年最後の「徹の部屋」では披露したいと思うのだが。