千恵の輪トリオって変?

まずは前回の補足から。

タンゴエクリプス第2 楽章でのジャンの変化も大きいものがありました。ツアー前半は全く踊りませんでした。この曲は私が神奈川フィルと小松亮太・私のソロという編成で書いたものです。祈りのメロディを最初と最後において、ミロンガ・ハバネラを使っています。ハバネラはダンサーにとって拒否できない何かを持っています。(カルメンですね。)それだけに、どう対処するかが問われてくるのでしょう。ジャンが取った方法は、立たない、あるいは立てないダンスでした。もうすぐ立てるというところで祈りに変わってしまう。これもまだ未完という感じです。次回を楽しみにしましょう。

千恵の輪トリオで共通しているのは、3 人とも大学では全く違う専門をやっていたこと。ジャンは数学・物理・哲学、オリヴィエは絵画・彫刻・文学、私が国際関係・英語・現代史。3人とも神童が大きくなったのではなく、オトナになってから生き方としてこの道を選んだと言うことです。(そうはいってももう30年やってきているわけですが・・・)天才少年がそのまま突き進んだのではないということはいろいろなことが言えます。周りにいるその道の「天才」達をうらやましく見ながら、自分の道を探ってきたこと、落ちこぼれの気持ちも劣等感も理解できることなどでしょう。天才でなくても良いのです。

ジャンとオリヴィエは同世代なので、いろいろなつかし話に花を咲かせていました。驚くことにふたりともかつて日本人女性と結婚寸前までいっていたということです。日本との因縁浅からぬものがあります。また二人とも語学の才能が半端でない。二人の共通語はフランス語・スペイン語・イタリア語・英語、ジャンはドイツ語、オリヴィエはアイスランド語をマスターしています。奥様がアイスランド人のクラシックピアニストEdda Erlendsdottirさん。たくさんCDも出しています。アイスランドは人口25万人しかいないということで、クラスメートが大統領になったり、奥さん自身もビョークの親戚だそうです。

オリヴィエは、ブエノス訛りのスペイン語を完璧にマスターしています。アルゼンチン人になりきってバンドネオンを弾き続けることもできるでしょう。しかしそれはやらない。自立したフランス人です。モーリス・ベジャールの「ドン・キホーテとバンドネオン」の音楽を担当したとき、南米をくまなく回ったそうです。ブエノス・アイレスでは南米最大の劇場。袖から見ると最前列にラウル・ガレーロ、レオポルド・フェデリコ、ダニエル・ビネリなど名だたるバンドネオン奏者が大挙して着席、腕組みをして睨んでいる(?)そんな中オープニングがオリヴィエ一人が舞台にあがりバンドネオンソロ。何という状況でしょう。バンドネオンフェスがあっても、タンゴでなくジャズを弾くことを期待される。などなど修羅場を越えてきているのです。

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