答えを待ちながら・・・

「聴く」ことは「待つ」こと、「待つ」ことは「信じる」こと。という題名で態変の機関誌「IMAJU」にエッセイを書いたことがあった。込み入った事務に追われていると、相手の返事を「待つ」ことが多い、それも複数だとその他のことに手が着かなかったりする。本当に「待つ」「聴く」「信じる」ということはむずかしい。だからこそ大事なのだ。日頃偉そうなことを言っていると問われるのは自分だ。

実際の交渉事だと「メール」「電話」より「会う」ことが一番、ということも何回かあった。パソコンの前で「待ち」続けることはホントに健康でない。カチャカチャとキーボードを打って溢れるような情報を浴びて無為に時を過ごすことになりがちだ。随分やってしまった。

せっかくだから、ベース関係での情報を共有しましょう。

Gaston Brohanという著名なオーケストラベーシストが自分で松脂(松でなく樫から採った樫脂)を作っていて、Zimmermanさんなど愛好していたという。そのレシピを譲り受け復活制作した。アメリカベース界でちょっと話題らしい。このところ私はアルシェのチェロソロ501が基本になっていて、柔らかい成分をアルシェのコンバスソロ701、アクイラ Aquilla historical rosinなどで足す方法でおちついている。これも試してみる。ロンドンフィルの名物コンバス奏者だったThomas Martinさんは一流の楽器作家になったし、ポール・ブレイトリオのMark Levinsonさんは世界中のマニア垂涎のオーディオアンプ制作者、Manfred EicherさんはECMの社長、StingやMilton Nascimentoはポップスの大スター、S.KoussevitkyやZubin Mehtaは大指揮者になった。まだ演奏もしているが、Miroslav Vitousさんは、オーケストラの音を録音し、サンプリング音源を制作・販売し「とても音楽的だ」と大当たり、地中海の島を買ったそうだ。コントラバス奏者は演奏を辞めた方が出世する?

Bass Instinct という六人組のベースアンサンブルがオーストリアにあった。ベースアンサンブルというと気になるので、YouTubeで観てみた 。オーストリアのPeter Herbert http://www.azizamusic.com/が何となく中心のようだ(というか、ひとりだけ派手)。彼のことは時々話に聞いていた。クラシック四人、ジャズ二人(に見える)のアンサンブル。ミンガスのメディテーションなど凝った編曲。これからはこういったクラシック・ジャズ混合のアンサンブルは増えるだろう。しかし、伴奏とソロというやり方をなんとか工夫せねばね。

Robert BlackさんがGiacinto Scelsiの曲集をCD にまとめた。今流行りの言葉で言うとチョーイケメンで、才能も豊か、人柄もOK、というブラックさん。神は時々不公平、いやいつも不公平。海外のベースイヴェントで何回か顔を合わせた。ISB(国際ベーシスト協会 )では現代音楽作曲部門の担当。ニューヨークのバング・オン・ア・カンのオールスターズのメンバー。近頃、現代音楽が得意なベーシストが良く取り上げる「failing 失敗」(Tom Johnson作曲)の演奏では一番楽しいしうまい。日本にも来ていたが、モダンダンス(中馬芳子さん)の音楽演奏のみで来ていたので私も知らなかった。シェルシのベース音楽はジョエル・レアンドルが何曲か録音していたが、今回はCD丸ごと。現代音楽ベースの先駆者Fernando Grilloの編曲ものもある(GrilloさんはShottからSonataを出版)。iTunes Shop でダウンロード可。(こういう世の中になったのだな~。)ほとんど同じピッチの音が揺れながら延々と続くものなどは音響派ファンにも受け入れられるだろう。ブラックさんはChristian Wolffの作品集,ジョン・ケージの龍安寺の録音など地道な活動もしていて立派。

Jonathan Sweereというヤツがベースを自分で作ってしまった。ここで観ることができる。iTunes shopでもダウンロード可。私も昔、自分仕様の楽器を作ろうと思ったことがあったが、すぐ諦めた。この楽器のカタチは言わば最終結論であり、ちょっとやそっとでかえることは出来ないと悟った。このままを尊重し活かすよう工夫している。しかし、Arnold Dreyblatt といい、Mark Deutschといい、ベース自体を改造してしまう人たちもいる。毎日毎日コツコツと音楽のことばかりやっているのだろうな~。うらやましい。

Ezio Bossoさん、前々から興味のあるベーシストだ。ピアソラ作品集はユニークだったし、イタリアのコンバス奏者として当然のようにボッテシーニ集の録音もあり、さすがに見事に弾きこなしている。日本とはクラシック音楽文化の層が違うのだ。彼はこのところ映画音楽作曲家として有名になってきている。「私は怖くない」「アモーレ」「クオ・バディス」などで評判だ。最新作が「ミルコの光」イタリア映画界での有名な盲目のサウンドデザイナーの話。昨年秋から日本各地で上映されていたが、見損なってしまった。また回ってくるのを注意して待つ。(実は私は映画音楽をやりたいのです。)

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