北の国から詩集と食料が届き、大阪から絵が届き、プラハから雑誌が届く。はっとするような満月を観ながら遠い地に思いをはせる。ココロが弱っているときにはとりわけありがたいことだ。
小熊秀雄詩撰「星の光のように」(小熊秀雄賞市民実行委員会刊)の序(アーサー・ビナード氏)に曰く「・・・・そんな不自由な環境にもかかわらず、芸術というプロセスを通して、自由を作り上げてきた。まるで豆腐屋が毎朝、豆腐をこしらえるみたいに、自由をこしらえたのだ。自由は、自分で作らなくなると、やがて上から取り上げられてしまう。現在、株式市場における乗っ取りの自由があって、大ドロボウのための規制緩和を自由と履き違えている人が少なからずいて、勘違いの自由はあふれている。そしてぼくらは、自分たちの精神の自由を毎日こつこつこしらえる作業を、怠っているように思う。・・・・」また「理詰めで解決しないで、なるべく仕事で解決したらいい」という引用もあった。今の私にとても響く。
大阪の絵は、乾千恵さんのピアソラのリトグラフ3種と新作のコピー。彼女の前ではどんな泣き言も言えるわけがない。「七つのピアソラ」(岩波書店)とそのスペイン語訳(高場将美さん訳完成しています!!)がピアソラ元奥様・歌手のアメリータ・バルタールさんの元に届き、その写真とコメントも同封されている。千恵さんの思いがちゃくちゃくとのびのびと広がっていく。来年の千恵の輪プロジェクトをなんとしても成功させるのが、兄としての最低限の役目だ。
プラハの雑誌「his VOICE」。今年の春、ちょうどフレデリック・ブロンディの来日公演中に日本を訪問していたペトロ・ブルバさんが私に興味を持ってくれて特集してくれた。十回近くのメールでの質疑応答の成果だ。カラーで4ページなんて日本の雑誌ではなかった扱い。音楽について考えていることをお互いにとっての外国語でやりとりすることの難しさを随分感じたものだ。きっと伝わっているものと信じている。(チェコ語なので全く読めません。)