歌のチカラ

ヴィクトル・ハラのドキュメントDVD「平和に生きる権利」を観る。1973年もうひとつの9・11の様子が克明に描かれている。(収容されたスタジアムがヴィクトル・ハラ・スタジアムと名前を換えたと言う話はいつかこのブログでも紹介した。ギターが弾けないように腕からやられた、というような種類の話しか伝わってなかったが、ここではその時まさに隣にいた友人、死体を発見した奥さんの話などが淡々と綴られている。)また、彼が歌う姿が何曲も収められている。その揺るぎない輪郭とまなざしに打たれた。(このブログによく登場する酒井俊や谷本仰にとって欠かせないレパートリーが「平和に生きる権利」。もともとはベトナムの話だが、二人とも現在の話として歌っている。)

歌のチカラを思う。ヴィオレータ・パラの影響力やカリスマもこのDVDであらためて知る。たまたま彼女の古本を手に入れた。「人生よ、ありがとう 十行詩による自伝」現代企画室。高場さん・峰さんからの資料としてお借りしたタンゴ歌手ロベルト・ゴジェネチェのCDにも「人生よありがとう」が入っていた。なんの違和感もなかった。ブラジル最大の歌手の一人エリス・レジーナのカバーも聴いた。この歌は南米をひとつにするのだろうか。日本でも三味線の高田和子さんの高橋悠治バージョンは特筆すべきもの。

生き残ったキラバジュン、インティ・イリマニなどの亡命生活、本家あらそいなどがどうしようもなく繰り広げられたそうだ。シンボルを失った後の人々の苦悩も今、大きな問題だ。多くのジャンルで巨匠達が相次いで亡くなって行く昨今、人ごとではない。1973年はこのクーデター中になくなったチリの大詩人パブロ・ネルーダの他に二人のパブロが亡くなっている。カザルスとピカソ。

本橋成一監督作品「ナミィと唄えば」再上映が7/14からポレポレ東中野である。ナミィさんも駆けつけライブをするという。売られていく歌者の実話、台湾のハンセン氏病院での様子など歌を通して人々、歴史、社会が描かれている。

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