青森から

今やっている青森県美術館での仕事は、シャガールの巨大な幕絵(プーシキン作の「アレコ」、ロシア貴族の息子がロマの娘に恋をして、嫉妬して殺してしまうと言う話、をもとにバレエの為に描いた。)を三枚設置してある部屋(アレコホール)で四幕もののダンス劇として再構築するというものだ。以前いったようにこれも県民参加型のイヴェント。招待ダンサーとして、何人か参加している一人が南アフリカ共和国出身のジャッキー・ジョブ。(以前ブログで書いたマレー系のアフリカ人女性ダンサー)彼女の依頼で私が音を担当することになった次第だ。私たちの担当は第三幕。アレコもロマ娘も死んでしまうという、この上なくドラマティックなシーン。ジャッキーは衝動的・本能的な踊りで表現している。それに対するためにいろいろな工夫をして音を作り上げている。

ともかく三方をシャガールの絵で覆われている空間はとても居心地が良い。しかし一番似合っているのはなんと私の楽器だった。私の楽器がこれほど輝いているところは見たことがない。本当にこの世界に帰属していたものなのだな~と打たれた。

待ち時間が多いので、美術館をふらふらする時間が多い。棟方志功の板画(版画ではなく)の本物はとても力強く、イマジネーションにあふれている。縄文土器もその量感に驚く。やはり本物を見ないといけない。寺山修司の部屋もある。太宰治も青森。土方巽や黒澤明は秋田。宮沢賢治は岩手。北は濃い人が多いな~。

この美術館のもう一つの売り物は奈良美智。「あおもり犬」と名付けられた巨大な犬。このところの雪で頭に雪が帽子のように積もっている。それがあたかもユダヤ教徒の小さな帽子のようで、笑ってしまった。

この北の地で南アフリカのダンサーとフランス人の旦那さんと三人で過ごす時間が多い。日本のおかしなところをビシビシ言われることが多い。わかっています。はい。
南アフリカの子守歌を教えてもらったり、アフリカンダンスをしたりして遊ぶこともある。私の得意分野であるブラジルのリズムが本当にアフリカンルーツであることがわかる。全部、はまる。日本では忘れがちなエイズ問題、最近も知人が亡くなったそうだ。世界はドンドン動いている。

様々な民族・人種の人たちとの交流が続く。大きな視野が必要だ!ベーシストの低い視点がますます大事になる?

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