アストル・ピアソラはヨーロッパで倒れ、かなり危ない状態だった。アルゼンチン大統領が飛行機をチャーターして迎えを出し、英雄として祖国に帰ってきた。かつてほとんど「石もて」国を追われるようだったのに。実際、批判のひどいときは、卵やトマト、時には鉄拳が飛んでくるようだったそうだ。ジャズのアルバート・アイラーのエピソードに似ている。
マレーネ・ディートリッヒは亡くなってからドイツに帰った。第二次大戦中、アメリカ人として戦争国債の販売促進の仕事、前線への兵士慰問を望んで行った。母の住むベルリンに落とす爆弾を買うための国債。葬儀にはハリウッド関係者は来なかったという。
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし
身捨つるほどの祖国はありや
と詠んだのは寺山修司。
故・白川静さんの講演より
「・・・・今日本は、これはあまり大っぴらには言えませんけれども、事實上占領下にあり、屬國であります。日本が獨立國であるなんて思うておるのは、事實の誤認も甚だしい。これは屬國です。戰前それから戰後の状態というようなものを、私はいろいろ見ておるわけでありますけれども、春秋の筆法で言えば、これを「附庸」と言う。「附庸」と言えばちょっとわからん言葉でしょうけれども、主權國に對する屬國という意味であります。これはもうすでに50數年續いておる。恐らく日本人がこのまま默っておれば、100年も200年も續くでありましょう。そのうちに日本は一つの州になるのではないかというふうに私は思う。本來東洋に屬すべきものが、とんでもない植民地國家の一分子になる、ということになりかねんのです。これは本當になりかねんのですよ。今のうちにね、異論を唱えておく必要があると私は思う。そういう意味で、中國ともっと親しくすべきである。東洋を恢復すべきである。・・・・・・」
他に、日本を属国と公に言っているのは、私の知っているところでは、立川談志と北朝鮮。