前回はヒトの華奢な部分を書きましたが、今日は逆、ヒトの力強さ。
まず、ピアニストLEON FLEISHERさん。CD「TWO HANDS」
コンサートピアニストとして大活躍していた時、筋失調症を患い以来35年間!両手でピアノを弾くことはできなかった。ところが、ボツリヌス菌による療法が功を奏し、両手でピアノを弾けるようになった!!その記念のCDが「TWO HANDS」とは泣かせますね。バッハからシューベルトまで色彩豊かな音色で満ちています。喜びに溢れているように聴こえます。このCDは、小倉の牧師、音楽療法士、タンゴバイオリン(トリオ・ロス・ファンダンゴス)、ホームレス支援で大活躍の谷本仰さんに教えていただきました。
もう一つは映画「touch the sound」↓。
主演のエヴリン・グレーニーさんは難聴の打楽器奏者。以前ブラジルのカーニバルに参加したドキュメンタリーを見たことがありました。その時もとても印象的でしたが、今回の映画はもっと私に迫ってきました。フレッド・フリスさんとの即興演奏のシーンが多く使われています。この映画が撮られた2年前、ちょうどカリフォルニアでフレッドさんと会いました。彼の身内にも難聴の人がいて、エヴリンさんとの共演をとても楽しみにしているという話をしました。映画の中で、音は耳だけで聴くのではない、とか、身体で聴くとかの話に強く共感。実は、私自身が1年半前に突発性難聴を患ってしまったので、なおさら。たとえばGの音が骨盤の右側に反応することなどは患うまで知りませんでした。
もう一つは安元亮介さん。
http://www.shinobazu.com/a-index/yasumoto-works1.htm
彼は聾唖の画家です。今年の初めにも不忍画廊でお会いしました。以前からなんて音楽的な絵を描かれるのだ、と驚嘆していました。彼の仲間でもある聾唖の女優さんと一緒に仕事をしたとき(岸田理生作、「空・ハヌル・ランギット」)彼女が歌うシーンがあり、そのあまりの力強さに劇場が震えました。
ヒトにはいろいろな力があるのでしょう。情報に右往左往するのではなく、身体に貞く(きく)ことを怠らなければそこにたどり着けると信じたいです。