曲目解説 その3
コントラバヘアンド
アストル・ピアソラとアニバル・トロイロの合作。タンゴ史上最高のコントラバホ奏者、キチョ・ディアスの為の曲。ベース2台のかけあい、オスワルド・プグリエーセのリズム(ジュンバ)を強調した編曲・構成です。
私の考案したコントラバスのジュンバ奏法はブエノスアイレスでもビックリされ、大変好評でした。思えばもう20年前になるんですね。打楽器のいない編成で誇り高きコントラバホ奏者が全てのリズムを担うタンゴ、好きでした。特にピアソラが本当にかけがえのないものだった時期がありました。若気の至りといいましょうか、キンテートに入ろう!と思い、高場将美さんに頼んだこともありました。1枚目の「Tetsu plays Piazzolla」はピアソラに聴いてもらうために作った意味合いがありました。そんな風に私とタンゴのことを書くとなると本一冊かかりそうです。
ちょうど5日前、岩波書店から「乾千恵の画文集 七つのピアソラ」という本が出版されました。ピアソラの次に私の名前が登場し、バール・フィリップスとの「二頭のライオン物語」ライブのこともでてくるという!?ピアソラ本です。是非お読みください。
オンバクヒタム琉球弧編
インドネシアから琉球弧を通り九州の西側を経て韓半島に着きその後、ヤマトの日本海(東海)側に辿り着くもう一つの黒潮(マレー語でオンバクヒタム)とその文化の伝播がこれからますます重要になってくると直感して、ライフワークだと思っています。最終的には総合的な演劇にでもしたいと願っています。
ここでは、その中の琉球弧編の2曲連続して演奏しました。石垣島の「とぅばらま」のフレーズを2小節借用しています。
曲前後の波音の出し方はコントラバス奏者・山崎実さんのアイデアです。竹と金属の風鈴を糸巻きに垂らして演奏します。指笛はベークライト板をE弦の巻き線に擦りつけてマネをします。デュオを始めた6年前、「こういう風にやってください」と井野さんに言ったとき、通常のBASS演奏とのあまりのギャップに本当に困惑されていました。楽しい想い出です。