「いずるば」フェスティバル!そもそも

中だるみ・疲れ・飽きなどエイヤッと吹っ飛ばして、毎日「いずるば」フェスのリハーサルが続いています。

かつて、矢萩竜太郎さんとドイツ4公演(ドイツでジャン・サスポータス、ウテ・フォルカー、ヴォルフガング・ズッフナー、セバスチャン・グラムスが加わる)をしたとき(DVD「ダンスとであって」(近藤真左典監督あり)、「いずるば」でリハーサルを兼ねて6回のLIVEを行いました。日本6回・ドイツ4回で合わせて「竜太郎十番勝負!」と奮って名づけました。

交通費とほんの少しのお金しか出せない状況でしたが、キラ星のような仲間達(ミュージシャン・ダンサー・書家・美術家)が大勢集まり、毎回毎回盛り上がっていき、喜びと発見に満ち、それはそれは素晴らしい空間になりました。こんな状況をプロデュースしたら大変な予算と事務がかかることは明らかなので誰もやりません。しかし、ほとんど何の準備も無しでこんな素晴らしい奇跡が東京の一隅で起こっていることに深く感動しました。

ああ、これは「フェスティバル」だと直感したのが、今回の「いずるば」フェスティバルのはじまりになります。

「祭り」「祝祭」。プロの人達が、人々をエンターテインして、ご祝儀をいただく、のではなく、人々が自分たちのために非日常を作り、歌い、踊り、ハレの日。

小金を貯めると良いことはないという知恵から一年(あるいは数年)分のお金を使い果たす風習はアジアにも南米にもあります。宵越しの銭は持たぬ、江戸文化もあり。

自分たちの解放のために(せめても精神の解放のために)祭りの日を設ける。権力者はそれをガス抜きとして利用したのかも知れませんが、ともかく必要な時間でした。咎人や被差別の人達もその日は顔を隠したりしながらも踊ります。(西馬音内)自らは労働のために習熟できないダンスや楽器演奏を「プロ」に託しますが、プロとの水平的なお金の受け渡し・芸の受け渡しではなく、人々もプロも「神」を向いていて、もっぱら垂直方向の願いなのでしょう。

金石出さん達の韓国東海岸の巫族の祭り(トンヘアン ムソク の クッ)に参加したことがあります。村の人達が何年もお金を貯めてムソク(シャーマン)達を呼びます。夜通し何日も祭りが続きます。プロの素晴らしい演奏を聴くこともありますが、もっぱら自分たちが歌い・踊ります。村民のどこかの息子が今年受験だからその合格を祈ったり、婚約を願ったり、ともかく日常。かと思うと死後結婚の儀式があったり。

良い音楽だと、踊りながらこれ見よがしに紙幣をひらひらさせムソク達の帯などに結び、喝采。ムソク達は、自分の音楽技術の開陳のためではなく、もっぱらその空間をもりあげ、フワッと場を持ち上げるような演奏をします。日本の民謡酒場にもかつてこういう風景がありました。

酔っ払った外国人観光客がフラフラとある場所に座ろうとしたらきびしくとがめられました。そこは「神」の座る席、空けておかねばならない。まるで能です。ムソク一族はきびしく社会差別されていて職業も自由に選べません。ある人は戸籍が無かった。いくらお金を持っていても無関係。芸能と被差別の問題は深い。

人は、日々、生産し、工夫し、効果を上げ作業(労働)します。してしまうのです。サガでしょうか?あげくの果てが原水爆・公害・遺伝子書き換え。それらに対する根本的な対立項として祝祭がある?生産しない、工夫しない、効果を上げない、アホをやるため。非生産・非工夫・脱効果。個人でやるアルコールやドラッグより集団でやる「祭り」。

祭り、の発音には「待つ」が入っています。待つのです。何を?何かが「いずる」のを!

日時: 12月8日と9日 いずれも15時から
場所: いずるば
http://www.izuruba.jp/access.html
予約: メール i-info@izuruba.jp
電話 080-3584-3315
料金: 予約3,000円/ 3,500円
障害のある方2,000円/付添いの方1,000円
学生2,000円
2日間通し 5,000円