寶玉義彦さん
茶会記でのMIYAさんとのセッションでおめにかかり、詩集「picnic」をいただきました。南相馬出身の詩人ならば「何かを書かねばならない」と思うでしょう。あらゆる表現者、いや、表現者でなくても3/11ついて何か反応をしたい、何ができるんだろうと身もだえたのではないでしょうか。それにしてもダイレクトすぎて、あの経験(今も続いている)を動機にした詩をつくることは大変な作業だったと想像します。
私自身はコントラバス5重奏を「ベースアンサンブル弦・311」と改名、アメリカ・ロチェスターでの国際コントラバスコンヴェンションに出演・DVD製作、ドイツ・ブッパタールでは1周年の日にジャン・サスポータスと「Looking for KENJI」出演、乾千恵さんの言葉からオペリータ「うたをさがして」上演、以後今日まで歌作りをしています。が、何もできていないという感じも残り続けています。
「青嵐の家」と「遠いあなた」をセレクトしました。それを伝えると「その2つは、恩師や編集者と推敲を重ねた思い出の詩です」との答え。やはり思いは伝わるのです。
牛が塩を舐める音、柚子をもぐ、死んだ蚕を父母と川に流した、その光が言葉だった。
故郷の音と香りと皮膚感覚や光を高らかに宣言したような詩句に打たれました。天然の美。生と死。
常人の何倍ものあまたの言葉をストックしている詩人として「いきること」という最も直裁な表現をすることは勇気がいることでしょう。堂々と「いきることは・・・」をさまざまな言葉で綴っていく潔さ。いくつもの生死を見守ったものにしかできないことでしょう。
ありきたりの答えではなく、矛盾した答えを連ねていき、その矛盾こそが生きることの統合への源であることを謳っています。
なってるハウスでの初演では、「いきることは」という詩句を聴衆と共に問いました。その答えを泰子さんが歌います。まるで観音様のようでした。
「ことば 詩 音 呼ぶ 歌 探す 踊る」
同時代の詩に徹が曲をつけ、泰子が歌い、隆志が踊ります。
2018年9月15日(土)17:00 open17:30 start
会場:アトリエ第Q藝術 (東京都世田谷区成城2-38-16 tel:03-6874-7739)
出演:松本泰子(歌)、齋藤徹(コントラバス・作曲) ゲスト:庄﨑隆志(ダンス・手話)
予約 3,000円 当日 3,500円