ずいぶんと息苦しい投稿が続きましたので、ちょっと息抜き。音楽の話。
もちろんネット社会に乗り遅れております。今年になって始めてストリームで音楽を聴くというシステムを知って仰天しました。私が加入したのは月に800円以下で4000万曲・高音質・聴き放題!でした。
高校生の頃から、聴きたいレコードを買うという長い長い習慣があり、そこには録音するミュージシャン・プロデューサー・レコード会社・ディストリビューター・レコード店舗などへのリスペクトが自ずから少なからずあったように思います。買えなかったガマンの裏返し?
都内あちこちのレコード店を順繰りに巡り、1枚1枚探し求め、学生時代はお昼代を削ったり、売り買いを重ねたりして買い求め、貪るように、本当に擦り切れるまで朝から晩まで聴き、コピーをしたり、友人と貸し借りをし、カセットに録ってお互い共有したりしました。
高柳昌行さんと行動を共にしていたとき、高柳さんが「資料なのだ」と称して、レコードや本の購入に最大の優先権を与えているのを見て、あ〜そうなのだ、これでいいのだ、と強く印象にのこり、それを真似して、家族への免罪符とさせていただきました。六本木・新宿・秋葉原・高田馬場とよくご一緒しました〜。
公共図書館で借りることができるようになって喜び(LP時代は、使用中のレコード針を担当者に見せる制度がありました!)、レンタル店ができて驚き、YouTubeを知って呆気にとられてからというもの判断停止、iTunesでダウンロードが始まってもほとんど利用する気力を持たずいました。
そしてこのストリームを入院中に知りました。私は、音楽を発表する側でもあり、聴く方でもあり、アレも聴ける、コレも聴けると喜びながら、何か違う、と思いました。
ストリームはほとんど音楽社会革命かもしれません。発表する側としてはマイナスの革命、聴く方はプラスの革命?
音楽が無料で享受できるのは、大変素晴らしく、理想的です。本来の姿かもしれません。しかしそれは、音楽を「パブリックサービス」として組織や団体が製作者・関係者へ経済を保証してからの話でしょう。
急逝したフランス,ナンシー、ミュージックアクシオンフェスティバルのボス、ドミニク・リピコーさんが「音楽はパブリックサービスだ」とよく言っていました。たいへんお世話になりました。
ほとんど無料の音楽情報の海はソラリスの海のごとく豊饒ですが、使い方を知らないと、間違えると、何にもならない、作る方も聴く方も運ぶ方も損失ばかりではないかと危惧・杞憂するこころです。
最近、FBで
「ほんとうに衝撃を受け、かつ今でも聞き続けている(ごくたまにであっても)生涯のお気に入りアルバムを10枚。毎日ひとつずつジャケを投稿する。説明は不要。誰かを指名する。」
というのが流行っていて大阪のダンサー山田いづみさんが私のソロ「トラベシア」をその1枚に挙げて下さっていました。光栄です。
試しにランダムに10枚を思い浮かべてみると、あまりストリームにひっかからなさそうなものが多いので、若い人のために参考のために挙げてみます。当然ですが、10枚だけなんてどうにもならず、最低100枚あれば私個人としてなんとか幾分かの納得のかけらを得られそうですが、そんなのはどうでも良いでしょう。
1:女王組曲 デューク・エリントン
2:道化師 チャールス・ミンガス
3:ジョアンカエターノ劇場のエリゼッチ・カルドーソ
4:ファイナリートゥギャザー オスワルド・プグリエーセ、アストル・ピアソラ
5:バッハ無伴奏チェロ組曲 ニコラウス・アーノンクール
6:鹿の遠音 海童道祖
7:豊漁の祭儀〜東海岸別神クッ 金石出
8:ベートーヴェン 田園ピアノ版 グレン・グールド
9:GEO GRAFIA AMOROSA ステファノ・スコダニビオ
10:彗星パルティータ 阿部薫