広島第一日目を無事に乗り越えて、大事を取って1日off。翌日からアビエルト2デイズ。
大槻オサムさんと何かやったら?と主催黒田さんが提案してくれ、2年前に即興セッションをしました。今回2回目となります。
本ツアー自体が私の病気で延期されたもので、その間、何をしようか?と黒田・大槻・徹でやりとりを重ねました。こういう期間はとても楽しい。
カントールの方法、賢治・安吾・ツェラン・一穂・隆一・りん・三郎さんの詩、大槻さんの演劇性と風貌、黒田さんの女性美術家という立場から発想して、宮本常一「土佐源氏」、ビオレッタ・パラを題材にとか・・・
結局、花を題材にして、石牟礼道子さん「花びら供養」をもっともちかいモティベーションにすることに。
さらに、2日前の黒田敬子回顧展での打ち上げでの話しから、テオ・アンゲロプロス「永遠と1日」からの「クセニティス どこに行ってもよそもの」(徹作曲)を急遽提案、(直前ホカホカの情報・提案に如くは無し。)業界用語「客いじり」の上手なオサムさんが聴衆から言葉をいただき、野の花をお礼に渡すことにしました。
また、アビエルトがガルシア・ロルカから来ていることを知り、舞台から正面を見るとロルカのおおきな肖像画があります。広島・ロルカとくるとどうしても昨年亡くなった高場将美さんを思い出します。中南米音楽ライター・ラテン音楽普及・MC・ギタリストとして日本で最大の功績をあげた敬愛する方です。ご出身が広島。戦後の広島のことを時々お話ししてくれました。「すいとん」がおいしかったのですよ、とか・・・
東中野ポレポレ坐で高場さん・峰万里恵さん・私プラスゲストで「ワールドミュージックの館」というシリーズをやりました。女性音楽家特集・ロルカ特集・ヴィニシウスジモラエス特集・メキシコ特集などやりました。俵英三さんをゲストにやったロルカ特集はとても印象に残っています。
現在私はこんな状態なので、昨年追悼の演奏をしていませんでした。そこでロルカ採譜・ラ・アルヘンティニータ歌・カスタネットの録音から「セビージャの子守唄」「チニータスのカフェ」を急遽思い出して演奏。ダンサー森田志保さんの公演の時に勉強して覚えていたものです。すべて役に立ちます。
そして、またまた思い出したのが私の長年やっている「invitation」という曲は、もともとガルシア・ロルカの「ブラック・プディング」という戯曲の為に作ったものだったことを思い出しました。(読谷村で男児コーラスでやるのがオリジナルアイディア)沖縄公演は中止でしたが、直後にバール・フィリップス初来日にあわせた録音がありこの曲を演奏。バールさんが「Invitation」と名づけたら良いと言ってくれたのでした。
この日のソロは、大槻さん、アビエルトの影響でか、演劇で作った曲をいくつも思い出しては演奏しました。ダナイード、街、妊婦の円舞、王女メディア、久々の演奏が多かった。
まさかまさかもうひとつまさか、広島から帰り、次の演奏エアジンでのバッハの客席に高場将美さんの息子さんご夫婦がいらっしゃるとは!!(初対面でしたがお顔がそっくりでびっくり)
寄り道の好きな将美さんのことだから、まだ寄り道をしてあっちにいっていないにちがいないと泣き笑いでした。
大槻さんとの第二部はいくつかの詩を挟み、クセニティスで言葉をいただきました。詩人が言葉を買うぞ。
そうそう、舞台には黒田敬子さんと羽鳥さんの刺激的なオブジェが飾られています。
コントラバスのガット弦、黒田さんの植物の繊維、羽鳥さんの鉄の糸の中に小さな小さな活け花、素材の違う糸どおしが絡み合い、糸を通して振動が伝わり、意味でなく、想いが伝わり、花が咲く、という拡がりを共有しました。