ツアーへの不参加は、私の病状が急に悪化したのではないかと御心配の方が居られるということで、補足をさせてください。
現在も副作用に酷く悩まされていますが、この半年の治療で手術に持ち込めるまでなったのは「大成功」で、ただ時期が悪かったのです。
昨年10月の告知の後、直ぐに手術をしました。しかし、患部が大きく、複雑に絡み合っていて摘出不可という判断で閉腹しました。
その後、専門病院へセカンドオピニオンで行きました。さまざまなご縁が繋がって転院。点滴ポートを設置し治療開始しました。
外科・内科の専門家チームで検討した結果、半年間の抗がん剤治療をして、患部を小さくしてから摘出手術をする、ということになりました。実際、半分くらいに縮小しました。
副作用に悩まされながら(同時にいくつもの人生の貴重で重要なレッスン/キャンサーギフトを受けながら)何とか半年12回やりきりました。担当医と充分コミュニケーションを取り、ドイツ行き(ジャン・サスポータスとの自閉症ダンスプロジェクト)も敢行、無事に仕事を果たして帰国。
そして、親友であり尊敬するインプロバイザー:ミッシェル・ニンとのツアーもお医者さんとよく話し合ってOKがでたので、幾百通りのシミュレーションをして、実施しようと決意しました。
新旧、伝統現代、私が現在関わっている素晴らしい共演者もトントンと決まり、演奏場所も決まり、フライヤも作り、郵送し、宿泊地、移動方法もすべてキレイに整いました。心温まる友情に支えられた素晴らしい企画になりました。大いに自慢したいものです。どうだい?と誇りに思えるような素晴らしいツアー企画に仕上がったのです。
そろそろ1ヶ月と来日を指折り数える時期になりました。
PETーCT検査があり、期待通り無事に合格。このまま予定通りツアーをして、最高の音楽療法をし、彼らを空港に送りに行ってから入院・手術という日程が一歩一歩進んでいました。
内科から外科へ代わり、手術現場に特化したCTを撮ったところ、外科の先生が「なるべく早く手術しましょう」ということをおっしゃいました。それが今から1週間前です。
あまりのことにビックリして判断停止してしまいましたが、事実は事実。ツアーと日程が完全に被ってしまったのです。早く手術しないと、再び、違う種類の強い抗がん剤治療を一から始めることに成ってしまうかもしれない、と言うこと。
この病気は、甘く見ることは決して出来ませんが、ともかく、手術に持ち込めることは「成功」であり「幸運」であるのです。抗がん剤治療は、途中で放棄したり、断念したりする人が多く居ると聞きます。その中で、治療の優等生として毎回キチンとやって来た成果は十二分にでているのです。
この「成功」を無にすることは出来ない。それが今回の不参加の理由の全てです。
すべては一期一会ですので、今回は今回の真実があります。それは一回限りのものです。が、そこに拘って無理をして実施するより、キチンと治せば、ツアーは将来また何度でも出来る!と言い聞かせ、不参加の決断した次第です。
なお、ミッシェルとニンは、デュオ結成30周年記念ワールドツアーを実施中です。尊敬し、敬愛するふたりのミュージシャンであり、一生の友人です。共演予定のミュージシャン、ダンサー、美術家も世界に誇るべき今が旬の素晴らしい方々ばかりです。
ぜひ、ご来場ご検討くださいますようお願い申し上げます。損はさせません。スゴイです!ホント。