緑よ、線路よ、虫たちよ

緑よ、線路よ、虫たちよ、私をさらって行ってくれまいか?

痺れと浮腫により、楽器が持てなくなって数日経ちます。
(演奏本番お約束の方々、大丈夫です。その日には必ずお約束成就します。私なりの方法を見つけて間に合わせます。)

早朝の「緑浴」徘徊を続けています。手術用の体力養成が主な目的です。歩く歩く歩く。ふらつきながら、ユックリユックリ。痺れる手をブラブラさせながら歩く歩く歩く。すれ違う散歩人と「おはようございます。」と言い合うのは新鮮で良いものです。

緑は人を寡黙にします。それは、火・炎を見る時、海を見るときに、人が遠い目をして寡黙になるのと似ています。

遠い遠い記憶に、緑と人との酸素・二酸化炭素を仲立ちとする共生の記憶があるのでしょう。沈黙の中で、人はその記憶をたぐり寄せようとしますが、できません。でもたぐり寄せよう黙るのです。

その記憶は、自身の何十年かの人生の経験とはまったく次元のちがうもの。実生活では体験していない「記憶」なのでしょう。

さて、

即興演奏の時にそこへのアクセスがショートカットして不意に繋がったりしないでしょうか?
それこそ「知らない自分」に会うチャンスかもしれません。それこそ発見であり、生き甲斐かもしれません。

7月23日の「いずるば」ワークショップ、ゲスト編でミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニンさんと何をしようかと考えていて、この「記憶」の話も良いかなと思います。

ニンさんはベトナム系フランス人です。精神構造もひととなりもフランス人です。現代音楽演奏の俊英としてデビューし、即興演奏も貫いています。そんな彼はジョン・ケージの作品演奏は特に好きで「カルテット・エリオス」のWERGO盤は定番ですね。「竜安寺」は、徹底的に分析しています。

そんな彼は、身体に流れるアジアの血をどのように感じているのか、それは即興演奏に影響をあたえているのか?本ツアーでも日本の伝統音楽(沢井一恵・久田舜一郎・田中悠美子・黒田鈴尊・マクイーン時田・大塚惇平)と演奏しますが、伝統と現代のことも絡めてご意見を聞いてみたいです。

一方、ミッシェルは、イタリアからフランスへ渡った家系。(イタリアにドネダ村が有ったよ!と報告が来ました。)彼は、個人表現よりも匿名を目指すような演奏になっているし、日本の海童道、韓国の金石出さんを大いに尊敬しています。ヨーロッパと言っても、近代以前のアニミスティックな記憶があるのか?聞いてみたいと思いました。

7月23日(日) 「いずるば」ワークショップ、ゲスト編vol.1
17:00〜18:30ワークショップ
19:30〜ライブ ミッシェル・ニン・徹、ゲスト佐草夏美(舞踊)
会場:いずるば 大田区田園調布本町38-8 予約3500円、当日4000円
studio-info@izuruba.jp
080-3584-3315(諏訪)