このところオーストリアやカナダ、アメリカからCDやDVDの注文が続いていて大変嬉しい状況です。それも、Travessiaレーベル全部!とか、在庫全種類!とかの大人買いが3件もありました。PayPal決済ができるようになったことも大きいです。半年を越えた医療・治療費がだんだん重く感じるようになってきたので大変助かります〜。(欠品もでてきました。どうぞHPよりご注文くださいませ。お待ちしております。http://travessiart.com/music/)
CDやDVDは、その場に居ることが出来なかった人達へ伝えるべく作ったのですから、遠方からの注文はまさに目的に沿ったものなのですから大いに喜ばねばなりませぬ。
ライブは一期一会、その場限りのものですが、CDやDVDで伝わるものも確実にあります。ライブでは気がつかなかったものもしっかりと録音・録画されていて「ああ、こういうことだったのか!」と思うことさえあります。
かつて土方巽フェスの時に、伝説の舞台「肉体の反乱」の映像にライブで音をつけたことがありました。
以前より、ライブにはライブ、即興には即興、作品には作品をと言うように「同じ土俵」であることを大事にしてきました。
この時もちょっと「?」を持ちながらもリハーサル・本番と臨みました。ところがどうでしょう!なんということか!ライブ以上に気持ちが高揚し、沸き立ち、周囲のスタッフが心配するくらい集中して演奏できました。リハーサルと本番とあり、映像は同じなのですが、全く違う映像のように感じました。
何十年前の現場での土方さんの集中力、そして、閃きがビシビシと伝わってきました。しかも映像は本番の良いところを編集してあるので、瞬きする間も無いほど、次から次へと繰り広げられる天才の所作に何十年か後の私は翻弄されました。完全に時空を越えていた、のです。
パートナーだった元藤さんの話だと、現場では、「わざと下手なピアニストを選んで」演奏させたり、ビートルズの音楽を最大ボリュームで使ったりしたそうです。榎本健一さん(エノケン)と土方さんは仲良しだったそうで、エノケンが選曲した現代音楽もあったとのこと。なんと豊かな時代だったのでしょうね。
完成された絵画の前でライブ演奏しても同じ事が起こるのです。その絵を描いた時のインスピレーションがそのまま伝われることがあるのです。ライブペインティングでなくても、しっかり「共演」できるのです。
同じくアスベスト館の仕事でワルシャワに行きマグダレーナ・アバカノビッチさんの大回顧展でライブをやった時、何十年前の作品から立ちのぼってくる閃きに反応できたこともありました。
逆に言うと、CDやDVDから現場のインスピレーションを感じ取って美術や詩やダンスを作ることも出来るのでしょう。ミラーニューロンの凄いところです。
写真は銀座資生堂での元藤さんとのデュオ(1ヶ月の会期中に元藤さんが亡くなるという時でした)