アウェイのエアジン?

 

昨年10月の告知、11月の入院・第1回手術、転院、化学療法開始、という急流の中で最大の懸案は、ドイツ行きでした。そのドイツ公演を無事に済ませ、帰国翌日の第10回目抗がん剤治療、土曜日のエアジンAYUKOさんCD発売LIVE、日曜日の第2回「いずるば」ワークショップという濃厚な一週間でした。終わってみると、すべてが一つ一つの積み重ねですが、空想や夢想の状態だったのが、実施、思い出の状態になってみると感慨深いものがあります。

体調管理の甘さもありました。なにしろ実施することが唯一最大の目的だったドイツ公演では、リハーサル・本番以外はほとんどベッドで寝ていて体力温存に努めていました。日本の自宅にいても散歩に出ることさえままならない状態だったのですから仕方がありません。

この間、時差ボケもあり、習慣になっていた朝のストレッチ・筋トレをしていませんでした。そのための筋力の衰えが不調の大きな原因になっていたと今気づきます。加えて半年におよぶ蓄積副作用は確かに半端なものではなくなっています。私の弱気につけ込んできてはイジワルをします。多種多様の微妙でキツイ症状が来ています。

さて5月6日、翌日のワークショップのリハーサル・スタッフとの打ち合わせを「いずるば」で済ませ、エアジンに向かいました。35年以上演奏している勝手知ったるホームグラウンドのエアジンですが、AYUKOさんのCD「Naked Circus」(クルト・ヴァイル作品集の発売記念LIVE)では、満員ながら知っている聴衆ほとんどゼロというアウェイ感のある現場でした。

私の体調を配慮していただき6曲だけの演奏でしたが、実は、1曲目にソロが回って来たとき、まったく言うことを聞かない右手・左手、むくみのより足下がふらつきあわや倒れそうになりましたが、気力でカバー。その時出来ることを精一杯やる即興精神で乗り切りました。

「いつもの私・いつもの演奏」に拘るのが間違い。指が回らなければそれなりの、音量が出なかったらそれなりの演奏があるわけです。ここに発見を見いださねば、偉そうにワークショップなどやれませんものね。

アウェイというのは、視点を変えてみれば、初めての方に聴いていただけること。少しだけ持っていったCDは完売するは、AYUKO MURAKAMIさんのFB https://www.facebook.com/ayuko.murakami.3…

(当日が誕生日の)浅川太平さんの丁寧で考えぬかれた素晴らしいアレンジメント、クルト・ヴァイルの作曲の閃きと複雑さ・天才、が相まって耳の中でずっと鳴り続ける「重たい」各曲ですので、やり甲斐はいくらでもあります。

都会で夜な夜な繰り広げられている大人達のジャズ環境とは随分離れてしまっている私ですが、そんなことは全く問題になりません。素晴らしい音楽と素晴らしいミュージシャンとすばらしい聴衆そしていつものエアジンの暖かさに囲まれてたいへん幸せでした。

体力の限界で、華やかな打ち上げを失礼にも早々に退出しました。スミマセン。

CDの録音では、極太ガット弦の暖かい音が見事に収録されていて大変嬉しい。AYUKOさんもエンジニアさんも私の娘より若い!

ほとんど2ヶ月楽器に触れてない状態で精一杯臨んだ「あの時」が思い出されます。決して忘れることが出来ません。

そんな状態の私を使っていただきありがとうございました!AYUKOさん。このCDがたくさんの人に届くことを願っています。

5月14日にもCD発売記念があります。etcで参加予定です。
朝霞台りとるかりんホールnaked circus発売記念ライブvol.2
ayuko(vo)浅川太平(p)guest:岡部洋一(per) etc
15:30開場
16:00start ¥3000
場所:埼玉県朝霞市浜崎2-7-21 JR武蔵野線北朝霞駅 東武東上線朝霞台駅から徒歩3分