リハーサル2日目

リハーサル2日目。
 
今日も問答無用でランスルー。
 
私は昨日の反省からきっかけを整理していましたので、大分上手く進みました。
 
上手く行ったのにはもう一つ重要な理由があったのかと思います。それはなんといってもキャンサーギフトでしょう。
 
昨年だと、上手く演奏できない2人のドイツ人ミュージシャンにイライラしてばかりでした。なぜ、できないのかがまったく分からなかったのです。それが高じて入院までしてしまいました。
 
 
1人は軽度の精神障害を持っています。あまり面と向かってアドバイスすると震えだしたりします。
 
大きな病気を得た私は、それが少し分かるようになったのかもしれません。それも、頭で「理解」するのでは無く、身体で「体感として」わかるように。
 
もう一人は、ジャズ的なハーモニー進行・舞台を見ながらの即興的変更が得意ではありません。それを今さら要求するより、そうしなくても出来る方法をなんとかあみだして提示すれば良いのです。
 
さらに彼らが得意とするところをフィーチャーする場面をドンドン追加します。音楽監督の仕事は作曲を提供すること、音楽演出すること、よりも、そういう創造的な場をつくることのほうがよほど大事なのです。私が人選したのではない、ということはなんの言い訳にもなりません。
 
 
そういうちょっとした安心感が環境を暖かくし、空間を創造的にします。舞台製作にとってこれほど大事なことってありません。独裁的演出家の言うとおりになったってつまらないものです。その人の限界が精一杯。1人1人の創意工夫が満ちている状態以上に素晴らしい舞台はありえません。ピナ・バウシュの演出方法はまさにそうだった、とジャンに聞きました。
 
 
そうなってくると私にも余裕が出来て、昨日は新しいことを2つ試し、それがことのほか上手く行きました。リハ終わってクリステルが「あれ、よかったね〜!スゴイよ!」と言いに来てくれました。まさに新しいところでした。エリさんも新曲がよかったよ〜とメールくれました。
 
 
画期的な、野心的なことではなくて良い、「いっぽふみだすことで」「はみだすことで」古くみすぼらしく見えたものが創造的で、共鳴的なものにかわる。豊かさと情報に埋もれていた「きれいさがうつくしさに」変わる。
 
まさに一つ前の投稿にあった2年前の思い出が、未来へ繋がった!ありがとう、洋ちゃん。