明日はソロ!

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ソロベース、初めてやったのは初台「騒」(ガヤ)、恵美さんに促されるままにやりました。何しろ阿部薫さんが亡くなった翌月から阿部さんのホーム「騒」で演奏を始めたのです。が、お目に掛かったこともなければ、聴いたこともありませんでした。コントラバスのテクニックはほとんどゼロ状態。来日ベーシストが公開レッスンをやったりし始めの頃です。(ミロスラフ・ヴィトウス、ゲイリー・カー、ルートヴィヒ・シュトライヒャーなどなど)。その可能性に目覚め、独自のキビシイ練習法を開拓し始めた頃になります。私のソロ内容は推して知るべし、だと想像します。
ある晩、「騒」で、阿部氏の奥さんだった、すずきいずみさんと同席し呑む(呑まされる)に任せ、急性アルコール中毒、重症の口内炎、高熱で入院などありました。いかにも「若かった」。

この頃、シカゴのAACM会長のダグラス・イワートさんが来日。日本文化を学んでいたときにお目に掛かり何回かセッション。AACMの会則でだれでもソロ公演をしなければならない、という事を知り納得。もともとリズムセクションとしてのベースにはあまり興味を持てなかった頃ですので(今は違いまっせ)、ソロやデュオくらいのフォーマットに惹かれていました。当時の共演者は板倉克行・梅津和時・原田依幸・宇梶昌二・溝入敬三さんなど。

1986年ということは31年前、現在尚美学園が持っているバリオホールを借りて録音したのが「TOKIO TANGO」。録音エンジニアは川崎克巳さん(ノイズメディア)。当時から「ノイズ」という言葉を頻繁にキーワードとして使っていた川崎さんです。「無線と実験」(現在はMJ)という玄人好みのオーディオ雑誌で文章を書いていた非常にユニークなエンジニアでした。(物故)

当時のバリオホール専属は桜井卓さんでした。30年ぶりに沢井一恵リサイタル(王子ホール)で再会。彼が当時最新のマイク(B&K、測定用に製作されたという名器)を手に入れていてその使用を許可、ホール内での一番良い録音場所を教えてくれました。(それはステージでは無かった!)アナログテープ、デジタル両方回し、一気に録音。試しては聴いて録り直す、などという知見も経験もなかったので、ただただ普通のLIVEのように演奏しただけでした。

「For Apple Sally」という曲では、ジャケット絵画をこのために描いて下さった湯河原空中散歩館の大成瓢吉さん(当時は荻窪在住)達が大徳寺の輪で参加。美術家の瓢さんといろいろと遊び始めていた頃です。Apple Sallyとは、当時娘が通っていた無認可保育園「リンゴの家」のサリーちゃんのこと。直前に病死。追悼でした。外国籍、病気いろいろな園児が居ました。

録音の良さ、「無線と実験」の「あの川崎」が録ったということで主にオーディオ界で評判になりました。アナログテープからLPを、デジタルテープからCDを作りました。それぞれ500枚。オーディオ関係では当時のカリスマ長岡鉄男さんがオーディオチェックに何回も取り上げてくれ、随分と評判になりました。長岡さん宅「方舟」というオーディオルームにも招待され、スゲー音を浴びました。「方舟」での演奏会の計画も練りましたが叶わず。

このCDのことなどもうすっかり忘れていたつい2年前、トルコのインターネットラジオで全曲放送。懐かしく聴きました。
「なんだ!あんまり変わってないじゃないか?」
スティール弦(ピラストロ オイドクサ)
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「Contrabajeando」
行きつけの楽器屋(弦楽器工房高崎)にスゴイ楽器を発見、歴史的名楽器ガリアーノ。
もう次元が違う!ありゃま!
ジャバラレーベルの森田純一さんと話して、この楽器でソロを録ろうということに急遽決定。場所は戸隠高原の「小山利枝子美術館」。(この建物の所有者が習志野市長。6年前に習志野市に引っ越してくるとは思いもしませんでした。)
行きの車の中で選曲。凝った選曲ではなくこれなら出来るかな〜と言うくらいの気楽なものでした。ちゃんとアレンジもしていません。なにが幸いするか分からないもので、とても聴きやすいと評判になり、版を重ね、ジャケットも替えるまでになりました。録音は小川洋さん。
ピラストロ・オリーブ(ガット弦銀巻き)
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「INVITATION」
関西でLIVEを作ってくれる人と知り合い、随分とソロツアーをしました。いろいろなところで弾きました。それこそジャズなど、ましてやインプロなど、さらにましてはベースソロなど聴いたことも無い聴衆ばかりです。その人達に伝わる方法や選曲をしなければならないのです。(妥協とかでなく、ケンカしに行っているわけではないのです。)ずいぶんと鍛えられました。財産になっているのでしょう。その成果というニュアンスで録音。E♭チューニングもこの一連のツアー中に開発。ツアーでお目に掛かった広島の美術家黒田敬子さんのジャケットを使いました。楽器は現在、瀬尾高志さんの使っている楽器です。録音はこの頃よく一緒だった小川洋さん。(ちなみに彼は共同通信で長岡鉄男番の記者だったこともあります。)

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「ORT」
第2の故郷と化しているブッパタールのORT(ペーターコバルトさんの旧宅・兼スタジオ)で録音。私が1ヶ月ORTのレジデンスでした。ペーターさんのセカンドかサード楽器が倉庫にあり、それをお借りして日課のように弾いていました。持参のSONYのPCM-D50で自分で録音。ORTへのドネーションとしてCDにして、ORTに贈呈しました。日本を離れて事務からも解放され、随分と楽になり、倍音奏法とか2本弓奏法とか毎日試しながら演奏した思い出があります。この時間は貴重でした。
Gamut TETSU version弦
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「Travessia」

2016年の還暦記念リサイタルでのソロです。いくつかのトラックは本番直前の客入れ前に録ったものも使っています。この時の話はBlogやFBを辿っていけば直ぐにたくさん出てきます。還暦とはよく出来たもので、それまでの音楽人生のまとめになっています。LIVE中に破綻もあり、復活もあり、客観的に観て示唆に富んでいます。いや、「示唆に富」ませるかどうかは今後の私に掛かっています。
Damian, Toro弦

さて、明日はこの還暦記念リサイタル以来のソロです。どうぞお楽しみに!
Damian弦

http://barberfuji.sakura.ne.jp/live.html
http://barberfuji.sakura.ne.jp
開場 18:30
開演 19:30
視聴料 3000円
予約・問い合わせ
終演後参加費無料の打ち上げがあります。
(362-0034 埼玉県上尾市愛宕2-12-17 JR高崎線上尾駅東口より徒歩10分 )
(上野から高崎線で35分,新宿から湘南新宿ラインで40分)
(tel 048-772-2175)

ポートレイト写真:スズキイチロウ