第0回のこと

FB投稿より↓

ただいま(午前9時半)、第7回化学治療の開始待ちです。血液検査もOK、担当医との話し合いもつつがなく終了。薬の調合・点滴椅子待ち。踏ん張りどころと心得ています。

さあ、明後日2017/03/11に「いずるば」で齋藤徹ワークショップ準備会(第0回)があります。
あたくし、結構気合入っています。まあ一般的に言ってワークショップというのは、「講師・先生」たちの経済活動(生活の為のお金集め)であることが多いです。そういうニュアンスで受け取る傾向が社会一般的に広がっています。それはそれで先生・生徒ともに大きな役割を担っているのだし、多くの成果を生んでいます。

現在わたくしがこういう状況ですので、今回のいずるばは、ちょっと違います。長期間演奏収入が見込めず、医療費もかさみますので、お小遣い稼ぎの要素はありますが、目的が違います。

病床でつらつら考えていて、なんとか私の考えていることを小冊子なり書籍なりの形で残したいと思いました。だらだらと書いたブログや、いくつかの講義録などありますが、還暦を迎えここでひとつまとめておきたい。次に病に伏したときは、その余裕もないのではないかという直感もあります。考えをまとめる絶好のチャンスかもしれません。

私が休んでいる間にいくつものホームグラウンドがなくなってしまいましたが、幸運なことに「いずるば」は残っています。なおかつ、一昨年のいずるばでの真夏のワークショップの成果がいい形で続々と出て来ています。

いま・ここでこそやりたい、やれるのではないか、と思いました。いい条件が揃っています。そう言うときには、やらないことはよくないです。病気をすると、やりたくてもできない状況の人のことを考えるようになりました。

もちろんアカデミックなことはできません。あくまで私の体験を通して学んだこと、経験したこと、考えたいことをまとめたいのです。外国で講義やワークショップをやったり、共演者と論議をすると、よく「本はないのか?」と聞かれます。できれば英語版もつくりたいですね。欧米の共演者たちも続々と自分の考えを書籍にしています。共演仲間のレ・クアン・ニンさん、ジャック・ディミエールさん、ミッシェル・ドネダさんにもあると聞きます。ジョン・ゾーンさんの編集本は多数に及んでいます。

リー・コーニッツやマイルス・デイビス、チャーリー・ヘイデンのインタビュー本も面白かったし、アメリカではジャズを自国の生んだ独自の文化としているので大学での研究が盛んなためにこの種の本はたくさん出版されます。それらはスタープレーヤーへの批評家・研究者によるインタビュー、興味をそそる楽屋話などが中心です。アンソニー・ブラックストンの本は入手困難なように、音楽家本人のものはあまりありません。日々の音楽活動が忙しいだろうし、文字が苦手で音楽をやっている人も多いでしょう。

「世界音楽の本」「音楽の原理」細川俊夫さんやリー・コーニッツのインタビュー本など興味深い本を病床で読みました。どれも立派な内容でした。

私は私にしかできないことをやりたいと思います。参加者への期待も大きくなります。私が情報を伝えるだけのものとは全く違います。
あの時は何を考えていたのか?今さら聞けないけど聞きたいこと、なんでああ言う展開になったのか?ジャンルの違いはどう作用するのか?あまり共演者同士も聴衆とも話さないことも話題に取り上げてみたい。

ですから、よくあるワークショップのように、初心者やアマチュアを対象として啓蒙し誘うものではないということです。

第一線の現場で活動中の人たちの参加も大いに期待したいし、第一線の「リスナー」とでも言うべき人たちも、プロもアマも隔てなく参加して欲しいのです。質問・疑問を喚起して話し合いになること、ゲストを呼んで対談になること、実践を踏まえながらの討議になることを大いに期待しています。

私が思いもしなかった切り口(心理学・生物学・哲学・医師・人類学・宗教・スピリチュアル系など)のご意見も聞きたいし・・・

なんといっても全員生きていることに関してはプロなのです。同格です。同じ時代に同じ空気を吸って生きているだけでも貴重な仲間・同志です。同じ問題を抱えているはずなのです。

いつか死ぬことは確かですが、今生きていることはもっともっと確かです。

この準備会で以後の内容・方針が決まると思います。

まず、私の現状に関して報告をし、さまざまな意見が飛び交う柔らかな空間になることを心より願っています。
ご参加ご検討ください。お茶付き500円、午後2時より。