点滴生活

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点滴開始2日目、順調に点滴風船はしぼみつつあります。46時間プラスマイナス3時間。これが体内に入り身体中に回りキャンをやっつけてくれることを祈ります。初日副作用が無かったからと歓んではイケマセン。身体からの拒否反応(アレルギーや嘔吐)がなかったという歓びです。スズキイチロウ先輩のおっしゃるようにまだまだこれから、ともすると一生かかるのです。夜中に自分のしゃっくりで3回起きました。3回目以降は眠れず。しかしまたしてもお天道様を拝み倒しました。

しゃっくりは私の患部付近なので、「お~闘っているのだ!」と勝手に解釈。応援しました。また、手の小指・鼻の先が冷たくなっています。もはや末端痺れが来たのだと思います。悠々としていたいと思います。ETさん(フラメンコギター)と共演した時、彼はジストニアで右手のコントロールが利かないと言います。「何やってるのか自分でも分からないんだよ」と言いながらすんごいフラメンコを聴かせてくれます。スペインのロマたちに一番信頼されているギタリストと言えばその音楽がご想像ください。レオン・フレイジャーさんもジストニアで何十年も右手が利かず、ボツリヌス菌療法で治り、両手で弾いていました。(小倉の谷本牧師に聞きました)CDで聴くと何と輝かしい右手高音部!エクトル・ティラドさんは聾のコントラバス奏者 ソロだけでなくオケも!やっているとのこと、エヴリン・グレーニーさんは著名な聾の打楽器奏者、フレッド・フリスさんとインプロデュオを続けています。ジャンゴ・ラインハルトだって・・・

抗がん剤点滴にしても血行・血流が大切でしょう。そのための無理の無い体操を考案せねばなりません。なんでも度を超してしまう自分に最大注意。なんせ強い薬なので排尿・排便で余分をはやく排出せねばなりません。

なんて考えていたら黒沢美香さんの訃報には動揺しました。奇跡の先輩としてそろそろお便りを出そうと思っていた所でした。本当に自由で前人未踏の極北領域で生きていらっしゃいました。何回か共演させていただきました。(京都芸術センター、ポレポレ坐徹の部屋、スーデラ(ミッシェル、ニンセッション)、アゴラ、相川さん追悼会)、それぞれが貴重な体験でした。

一番驚いたのが、京都で岩下徹さんとトリオをやるリハーサルで「齋藤さんは今回はなんという楽器でやられますの?」と聞いてきたときです。その質問は思ってもみなかったことで、空前絶後の質問だったのです。私はコントラバスしか弾けません。逆に言うとご本人は奏者が楽器を替えるほどのキャラクター作り替えをしているわけでしょう。「今日は事務員の~子」などになりきって舞台に現れます。

決してぶれない。パートナーの首縊りたく象さんと共に果てしのない遠くに拠点を置いていたのでしょう。観る人は想像も出来ないのですが、スゴイことはすぐに分かるのです。アゴラの会では、私に簡単な振付をしてくれました。それは単純ですが、今も良く覚えています。私の「振れる」「揺れる」テーマのもとになりました。せめてもう1回共演したかった。担当の医師達が「あなたが生きて、ダンスを続けていらっしゃることは自分たちの希望であり、救いです。」と言っているのよ、アハハ、と言ってらっしゃいました。

人は興味や好奇心や動機がなくなったら弱まると思っています。さて、なにが私を生かしてくれるか?書き落としはたくさんあるでしょうが、これ以上は無理。あるいは、ここと全く違う活動に変更されたりするのもアリ?

現在共演している数々の友人達とのセッションの発展・展開がもちろんまず第一です。(ここに至った切磋琢磨・偶然・必然は決して疎かには出来ません)

その他では、歌・器楽の作曲・特にコントラバスの曲・映画音楽(ドキュメンタリー、ドラマ、漫画を含む)・演劇音楽・オペラ(邦楽・雅楽・農楽・能楽・西洋音楽・ジャズ・インプロ・美術・ダンスを含んだ)

ジャンとの自閉症プロジェクト推進・矢萩竜太郎(ダウン症ダンサー)、庄﨑隆志(聾のダンサー・役者・演出家とのセッションおよびDVD)、オンバクヒタムシリーズ・ユーラシアンエコーズシリーズ、極東弦楽四重奏団。かみむら泰一らとのジャズ。
邦楽・雅楽・農楽・能楽・西洋音楽・ジャズ・インプロのオーケストラ。

コントラバス・倍音・ノイズ・インプロ・音楽・芸術・生きる・歌う・奏でるなどを白川静、野口晴哉、野口三千三、三木成夫、非線形科学・同期・アフォーダンス・皮膚・触覚・振動・水などから読み解く本(日本語・英語)日本・外国でのワークショップ・授業用。

ジャン・サスポータスやザイ・クーニンらとの(音と身体の)共同ワークショップの展開・発展。ベース1本かついで旅回り。

バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏・コントラバスアンサンブル・特定の奏者への献呈ソロ作曲・お世話になった人への献呈作曲。

ブラジル音楽(シコ・ジョビン・エドゥ・ヴィニシウスの音楽を淡々とメロディだけ弾く、もう選曲はだいたい決まっています。)

みんなの身体が緩むような音楽。子供達の歌。老人の歌。デモの歌。病院の歌。

詩を書く・ドローイング・絵を描く・写真・映像制作・・・

こりゃなかなか死ねないよ。まったく。無理だ~~~!!

外国関係予定は、
スイスのヴィオラ+ヴォイス+ドローイングの美女シャーロット・ハグ上海レジデンスの間に来日
3ヶ月京都九条山にレジデンスのフレデリックブロンディ
4~5月ドイツ・イタリア 喜多直毅とのツアー ジャン・サスポータスとの自閉症プロジェクト「私の城」再演含む
7月に結成30周年ワールドツアーのミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニン
8月にジャン・サスポータスさん来日
国内予定は
冊子のまとめを始める
2月森田志保 グラヴィテーション
秋に小山利枝子個展内で今までとは違うコラボレーション
広島での大槻オサムさん・黒田敬子さんとのコラボレーション

これまた大変だ~

どの位出来るのか?
こちらはくたばるだけですが、回りに迷惑をかけるのは理由はあるとはいえ本当に良くないです。

そんなのいままで怠けてたんだよ!

というばかりに近藤秀秋さん1971年生まれが550ページの本を出版「音楽の原理」(ARTES出版)厚さや装丁、値段から言って「世界音楽の本」(岩波書店)を彷彿とさせます。「世界音楽の本」が多くのユニークな専門家に得意で最新の文章を書いてもらいそれらを編集した素晴らしき名著で、読み応えありすぎでした。「そもそもリズムとは」とかの「そもそも論」の多くは高橋悠治さんが書いていて、わたしにはストライク真ん中でした。それだけ切り取っても立派な一冊になるでしょう。

その百科全書分量を一人の若者が書いたのです。驚愕です。上記したように私も一冊の冊子は一生の内に書きたいと思い始めていますが、550ページの本は決して書けません。かつて山下邦彦さんが坂本龍一・キースジャレット・チックコリアなどの電話帳のような分厚い本を書いていましたが対象が一人ずつ、近藤さんの新刊は扱う対象が古今東西・百科全書。よくここまで1つの脳でまとめることが出来たものです。

ベッドで読むには重すぎという弱点はあります。病室に届いたばかり。病室ではキャン(癌)の本もたくさん読みました。ちょっと食傷気味になってきて、もっぱら野口晴哉さんに凝っていましたし、身体のことを考えること、実践して身体に触れたり、動かしてみることで精一杯でしたが、原理本も少しずつ読んでいきましょう。特にアプローチとして、音響に特化する、と書かれていて、私のように他のジャンルや他の音楽との実際の出会いから全て発想していると違うのでなおさら興味深いです。

長沢哲さんのパーカッションソロCDも購入。聴いています。身近にいても交流がないミュージシャンやダンサーが何と多いことか。私が出不精なこともありますが、「会える人には、かならず会えるもんさ」ということがキャンによってあっと言う間にあやうくなっています。ちょっとだけ急がなくちゃね。

自宅にいて過剰情報のなかでは、優先順位がどうなるか見当が付かないものでも、偶然持って来たり、ちょっと縁遠いものを優先的に選んで病室入りするのは、とても面白いです。大杉栄が一獄一語と言って1回牢獄に入ると1つの外国語をマスターしたという話しを思い起こします。ちょっと縁遠い本・音楽・映画・語学などに制限したほうが良いのかもしれません。自分で所有している映画DVDは問題作ばかりで、結局観ないというのが前回の入院でわかりました。

調子に乗って劇場で観ていなかったさそうあきらさんの「マエストロ」朗読「グスコーブドリの伝記」アニメ「銀河鉄道の夜」三木助・談志「芝浜」などをネットで観たらあっと言う間にネットが低速になってしまって・・・よく読まずに安い契約をしてしまったためか・・・ご教授ください。うんにゃ、待てよ、それこそがキャンを生んだ傾向・生活習慣かもしれませんな。早く早く、ばっかり。欲しい欲しいばっかり。YouTubeなど観ないで、低速のメールとブログ、FBだけでいいのかもしれません。ポレポレ(ゆっくりゆっくり スワヒリ語)そうか、アップできなかったらそれはそれで。

そんなことはどうでも良いけど、今回は来週前半に退院予定です。そして、自宅で療養中にどのくらいライブができるのか、作曲や執筆ができるのか、がだんだんとしか分かってこないのですが、かならずできる巡り合わせが有ると思います。一般てきに点滴を打った2~3日は怠く、それから回復に向かい、また点滴という感じかと理解しています。

次回の長期入院は(希望的には)来年、患部病巣が小さくなったあかつきの再手術(1ヶ月以上入院)でしょう。ドイツ帰りだと理想です。まさにこれから正念場。こころして生きていきます。

どうでも良いけど、そのころはもっと病室が整理されていることでしょう。病院が終わる頃に、一番上手くなっているのはツアーの荷物・車への搭載方法と同じだね。

今日から文の最後に「あっ、治る」と書くようにします。(お手すきの方、ご唱和ください。)

あっ治ってきた!

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