ロジャー・ターナー/喜多直毅/齋藤徹セッション終了
これはセッションではなくレギュラーグループのサウンドでした。
ロジャーさんのこのトリオへの思いはお伝えしたとおり。それは直毅さんも私も同様です。ただ日時を指定して当たり前のように三人が公園通りで会い、セッティングして、話して、演奏して別れました。
大変豊かな時間でした。時間も場所も音も人も、すべてが「こうあるべく」して「ある」ということ。ただそれだけ。美しかった。
もし、細かく言うと三者三様に膨大な新たな情報が渦巻いていたのですが、そんなの「あたりまえ」。生きていると言うことはそういうこと。音楽で、即興で生きるとはそういうこと。
例えば、ロジャーさんは昨年のセットではバスドラムを使っていましたが、今回は初めから外しています。バスドラムとコントラバスは微妙な関係。音質的に似ているので、コントラバスがまるでたくさんのバスドラムのように響いているとジャズユニットは「サウンド」します。逆に言えば競合しているということ。
今回はその音をすべてコントラバスに委ねてくれたと言うことなのです。それだけで気持ちが伝わってきます。また、ロジャーさんが入念にタムタムのチューニングをしていて大分高めにしています。「わかるぜい」。バスタムには松脂を塗って「擦り」系の音に備えます。前回もちいさなシンバルを擦ってまるで荒野の狼が遠吠えしているような瞬間がありました。これはロジャーさんの声だと直感しました。通常のドラムスティックは使わずに、菜箸ほどの細いものを多種用意、素手も使っています。素材の材質は音を決めます。相当なこだわりで集めているものと思われます。デュビュッフェ同様。
私と直毅さんはことしソウル・ブッパタール・デュッセルドルフ・パリ・ケルン・ハノーファー・チューリッヒ・バーゼル・バーデンで共演、多くの日時を共有しました。その経験がすべて積み重なっています。何をしても分かる状態。
9/11はワールド・トレード・センターの日であり、サルバドール・アジェンデの日であり、ザイ・クーニンの日です。そんな日に消費と喧噪と欲の渦巻く渋谷でこんなことが当たり前のように起こったことを心に刻みます。
ありがとうございました!
次回は10月6日 田園調布本町「いずるば」です。
ロジャー・直毅・徹のトリオに加えて前回ロジャーが見事な逸脱を見せた矢萩竜太郎(ダンス)との再会、そしてケープタウンから来日中のジャッキー・ジョブ(ダンス)が加わります。
こいつあ楽しみだ!