夏の旅6
6:アステールプラザオーケストラ等練習室
最終日は広島です。広島での受け入れはいつものように美術家黒田さん。お話によると関係は19年だそうです。今回のツアーはどれも長い関係です。
19年前、広島現代美術館野外でマグダレーナ・アバカノヴィッチ作49体の背中の彫刻とアスベスト館の舞踏とのセッションがありました。音は沢井一恵さん伊藤啓太さんに手伝っていただきました。この時のセッションからアバカノヴィッチさんにポーランドに呼んでいただき公演も実施。さらにこの時の美術館内ではアンゼルム・キーファー展!「革命の女達」や「罌粟と記憶」なども展示。重なるものは重なる訳です。
この19年間、それこそ毎年のようにLIVEを主宰していただきました。そして、聴衆と共に私も育ってきたという印象がとても強く感じます。
今回はソロ。ソロというのは最近ほとんどやっていませんでした。友人ダンサー、ミュージシャンのツアーの一環と言うのことばかり。言ってみれば、人のためなら動けますが、自分のためにはなかなか動かない私です。
しかし、一緒に育ってきた人々のほとんどがソロが一番良いと言ってくれています。アンケートの回収率がとても高い!のが今回のツアーの特徴でした。(還暦ソロあたりからずっとアンケートの回収率が高いのです。なにか言いたい気持ちを刺激しているとすればとても嬉しいことです。)
顔見知りとのちょっとした会話からプログラムが自然に出来上がってきます。音響は最高に素晴らしいし、聴衆も素晴らしいのでこれ以上のことはありません。時間を超過してしまい第1部終了。
第2部に10分〜15分入る予定だった大槻オサムさんには、休憩中に、「第2部全部やりましょう」と声をかけました。ともかく一緒にでます、との彼の答え。
今日は9月1日。関東大震災の日です。事前になにか共有したいということになり大槻さん・黒田さん・私でメールで話し合いました。テキストは何が良いか?という話題が一番盛り上がり、田村隆一、吉田一穂、ツェラン、石垣りん、マルティン・ニーメラー、大杉栄、原民喜などなどがメールで往復しました。今回は、初めての試みなので大槻さんに任すと言うことになり本番でした。
「わたしの花」ということになり、ピンクのカーネーションをもった黒いワンピースの異形の花嫁のような髭男が現れました。
花繋がりで、花祭り、というありきたり、私が楽器を置いて、楽器無しで動きとどうやって対峙するかの実験もあり、オサムさんも好きだと聞くタンゴを繋げ、「輪廻の花」(カーネーション)をちぎって空に撒いたところで「仮面行列」(ラ・クンパルシータ)のバリエーションを弾き終了。アンコールで「霧の中の風景」でタターン、タターン。
さて、実は、ここからがスゴイ見ものでした。なんと15分で完全撤収をしたのです。私は求めに応じてCDにサインなどもしていたのにです。これには驚きました。面倒で融通の利かない公共施設の退出時間を見事に逆手に取ったようなパフォーマンス。演奏は忘れてもこの撤収は忘れない?
出演者・主宰者で打ち解けた宴会。ここでも自家栽培の野菜がふんだんに出てきました。豊かとはこのことです。情けなくも、私は寝落ち。
ツアーで気づきましたが、私の世代の人達は、食物に殊更こだわるようになっていますね〜。現在は、それだけ不安な食物と言うことでしょう。
翌昼出発して12時間かけて家に辿りつきました。
毎度のことながら、みなさまに感謝!それだけです。