初めてお会いしたのが長年の芸友、小山利枝子(画家)の展覧会場でのパフォーマンスでした。巨大な華の絵画の前で私は瀬尾高志さんとコントラバスデュオをやり、もう一組が箏とダンス。そのダンスが佐草夏美さんでした。
私はダンスとの関係がずっと長く・多くあり、いろいろダンサーを知っていますが、音楽に対する考え方はダンサーそれぞれ違います。当然ですが、ダンサーは自分が「どう見えるか」に気を遣います。そこで大きく2つに分かれます。もっぱら音楽を「効果」として使うダンサーと、音楽を同等な存在として認め、音を身体に染みこませて「効果」をはるかに越えて協働するダンサーです。この書き方でもおわかりかと思いますが、私は後者が好きです。そして意外に少ないのです。
もう少し大きく見れば、音楽の共演者も同じですね。自分の「ソロ」を引き立ててくれる伴奏者を要求するミュージシャンと、自分と同格として相手の音を身に染みこませてそこで音を出す。自己表現を越えることを目指しているタイプの違いです。ダンサーとしての能力や習熟度や経験などには全く関係ありません。
自己「表現」を越えた自己「実現」。面倒な言い方になりますが、自己表現は自己を越えることは出来ませんが、自己実現は自己を越えることができるのです、それこそが目的なのです。それは勉強・訓練したことを発表することと次元がちがいます。
音楽にもダンスにも「始まり-生まれ」があり「成長」があり「成熟」があり「死」があります。相手を本気で思いやる心がなければイケマセン。また、自分を大事にできないと他者も大事に出来ません。やっぱり「人間関係・社会」と同じなのですね。
夏美さんはまさしく後者のダンサーです。初めてお会いしてから何年も経って丁寧な依頼があり、何回も話合いをしてデュオを始めてから毎年一回で4回目になります。忘れもしません。初回の前日に緊急・重度の病を告知されたのでした。幸いなことに今年も演奏を続けて此処にいます。嬉しい。ハイ。
夏美さんは東京芸術大学で箏曲を専攻していましたが、どうしても馴染めずにジャワ舞踊に行ったという経歴です。興味深いです。
チラシの裏のコトバに「百年ののち 今日のひびきが ここに ありますように」とあります。震え続けること、そこは動きも響きも同じです。「揺れ」は「共振」と「反応」を求めます。
使う言葉はさそうあきらさん作「耳はむ魚」(私の最新CDで久田舜一郎さんが謡った詩)と古代歌謡からです。
ダンスも音楽もコトバもおなじように振動しています。
7月30日(土)15:30 開演 可楽庵(小田急線鶴川駅より徒歩8分)2500円 約一時間強
申し込み:080-3253-8522 あるいは jasminrule@yahoo.co.jp