ボッフム音楽学校
竜太郎さんシリーズ最終公演はウテ・フォルカーさんの勤めるボッフムの音楽学校です。ここも2年前に公演をした想い出の場所。この音楽学校は障がいを持つ人に開かれていて、バンドもあります。ウテさんは多い時には日に10コマ、アコーディオンを教えているとのこと。
今回はカフェでの上映プラスミニライブです。主任教授が自ら椅子をかたづけてスクリーンや音響の手配をしてくれています。
このところ、私は竜太郎さんに敢えて苦言を言う役割を感じていて、憎まれ役でも良いので、彼の良いところが伸びるように真剣に考えて助言をしています。「ヨカッタよ~」「スゴイ!」ばかりでは良くないし、彼には、私の言葉に耳を傾けてくれるだけの信頼関係があると直感しています。
今の竜太郎さんの課題は、聴衆に受けること、をどう捉えるか?です。もちろんパフォーマーは聴衆に受けると嬉しいですが、そのために受けたときの自分をコピーしてしまうと悪循環に陥ります。竜太郎さんの自然な振る舞いが聴衆に受けるのは素晴らしいことですが、受けた記憶が強すぎるとそれをコピーしてしまいがちになります。それは「受ける」ためだけのものになり、好意的な聴衆ばかりだとそれで充足・自足しがち。それではダウン症ということと関係なくやりたい元々の気持ちが揺らいでしまいます。
今回は幸運なことにDVDの上映と一緒ですので、私の苦言も分かりやすく説明できます。DVDの中のケルンでのパフォーマンスは竜太郎さんのベストだと今も思っています。この時は、受けることなどは一切考えずに集中して踊りきりました。それはそれは素晴らしいものでした。聴衆には涙を抑えきれない人もいて、ともかく本当の意味で「受けた」のです。
それを例にして、竜太郎さんに伝えておきました。それが功を奏し、ボッフムでは大変集中してダンスしています。受けを狙うことも無く、自然なユーモアが醸し出されています。最終回ということもあり、ジャンさんも特別参加、ウテさんも参加。
短い時間でしたが、充実していて、竜太郎さんもそれを実感できたようです。打ち上げはいつものトルコ料理ハイヤート。エリさん、ステファニーさん、オットーさん、ヴォルフガングさんも夜遅いにもかかわらず駆けつけてくれました。ステファニーさんの感動的なスピーチ、それに答えた竜太郎さんのスピーチ、みんなの涙を誘っていました。
竜太郎週間ミッションコンプリートです。明日竜太郎さん、エリさんは帰国、私たちはスイス8泊9日、デュッセルドルフ皆藤千香子振付公演が待ち構えています。さて、ギアチェンジして on the road again.