2/26 DVD「ダンスとであって 竜太郎10番勝負!」(IZRB-01)リリース記念LIVE@「いずるば」
矢萩竜太郎(ダンス)
我が愛しき弟分です。ダウン症のダンサー。「ダウン症の」と言う言葉を使わないようにしていましたが、今は敢えて使っています。決してそれを「売りに」していません。それは庄﨑隆志さんを「ろう者の」と呼ぶのと同じで、ろう文化の誇りに敬意をはらっています。こういう言葉の使い方一つ取っても微妙な問題を含んでしまうこと自体が採り上げられるべき問題なのです。
ダウン症は一つの個性であって差異ではなく決して「特別」ではないと言う面と同時に、ケアが必要なこともあります。
聞くと、バイト先で上司や同じバイトのネパール人の「いじめ」にあっていたり、長年のつき合いの先生から酷い言葉を言われ深く傷ついたりしているのです。
その悔しさも彼のダンスの動機になっているのでしょうし、現代の持つ矛盾・病理が差別の中に結晶することも見逃してはいけないでしょう。
彼のダンスを「天真爛漫な」とか「無垢な」とか言うことはたやすいですが、それはそこで判断停止していることに他なりません。同情している自分に酔っているだけかもしれません。
その「明るさ」は彼が生き延びるための無意識の知恵・方法なのかもしれないという面も忘れてはならないのです。彼が生き延びるためには誰が「味方」で誰が「敵」かを瞬時にそして確実に判断しなければならないのです。
彼と付き合うことでまず自分の中に「偽善」はないか?を問い、その問いに答える過程で、自分自身を知り、社会を知ります。そして彼によって自分が問われ、影響を受けていることを知ります。
ジャン・サスポータスがヨーロッパで自閉症の人達とのワークショップを始めたのも彼とのつき合いが影響しているのでしょう。ある時、ジャン・徹・竜太郎のミニライブでの彼の高揚感はスゴイものがあり、ジャンの踊りを圧倒している場面も多々観ることが出来ました。心底ドキッとしました。
我が愛しき弟、などと言っている内にあっと言う間に追い抜かされていくのです。
お母様の提案してくれたこのタイトル。
竜太郎さんがダンスにであってからそれまでとは違う人生を歩み出したことがしみじみと伝わってくるすばらしいタイトルですね。もちろんこのDVDは竜太郎さんにとって通過点ですが、ここまでの道程を想像し、思い巡らせます。
「いずるば」では自らカメラを回し、ドイツでは監督として撮影した近藤正典監督は、現在アップリンクで上映中(連日満員だそうです)の「given」のプロデューサーでもあり、近作は「父をめぐる旅」(異才の日本画家・中村正義の生涯)です。近藤さんとの「であい」は庄﨑隆志さんであり、小林裕児さんでした。いろいろなもの・ことが曼荼羅のように繋がっています。
ドイツでの撮影担当の松根広隆さんは、2016年、日本映画撮影監督協会(JSC)主催 第24回「JSC賞」に、「風の波紋」(小林茂監督)で受賞しました。 (この賞は、劇場用映画以外の文化、短編、記録、テレビ、ドキュメンタリー、PR、大型映像等で、豊かな感性と技術成果をあげた撮影監督を候補に社会的貢献度や業績を 顕彰するために設けられた賞です。)
■日時:2016年2月26日(金)19:00 open / 19:30 start
■会場:いずるば(東京都大田区田園調布本38-8)
■出演:矢萩竜太郎(ダンス)齋藤徹(コントラバス)
熊坂路得子(アコーディオン)佐草夏美(ジャワ舞踊)
■料金: 予約:2500円 / 当日:3000円
予約・問い合わせ: Tel:080-3584-3315(いずるば)
Mail:studio-info@izuruba.jp