ショーロ公開録音

泰一001 MAH04211.MP4 2016.01.25 11.29.54.322 泰一 のコピー ST__0462 のコピー

 

音楽で生きて行こうというとんでもない勇気があった40年前、ジャズやクラシックの他に、当時まだ活発だった音楽批評の中に、ラテン系の記事が目を惹きました。ユパンキ、ピアソラというスゴイ人達がアルゼンチンにはいて、ヴィニシウス・ジ・モラエスという外交官がヨッパライながらバーデン・パウエルとすばらしい歌を作っては歌い、カルトーラという伝説のサンビスタの奇跡の録音がマルコス・ペレイラに2枚あり・・・云々。遠い遠いまさに地球の裏側の憧れの情報でした。

当然YouTubeもamazonもなく、恵比寿の中南米音楽・高田馬場のムトウなどで学生にとってはとても高価なLPをやっとの思いで購入し(やっと手に入れても不良品だったりもあり・・・)、FM放送を丹念にチェックしてすこしずつ貪るように聴いていきました。

当時の評論の代表格が高場将美さんで、後に一緒に演奏するなんて思ってもみませんでした。今でも高場さんのことを多くの人が「先生」と呼ぶのもよく分かります。貴重な生の情報を溢れるような音楽愛を持って届けてくれていました。ピアソラ初来日の前1年くらいの「中南米音楽」(現在のLatina)の充実ぶりにまさに心躍らせながら読んだものです。

ブラジルものでは、カルトーラの伴奏がとてもすばらしく感動的でした。彼らこそショーロのミュージシャンだったのです。ショーロとは「泣く・涙」を表すそうです。たしかにセンチメンタルな気分にさせてくれます。サウダージという言葉を覚えたのもその頃です。演奏性の高さも驚くほどでした。ジャズこそがあらゆる既存の音楽に拮抗し、凌駕する音楽だという当時よくあった偏見から逃れられたのはブラジルのお蔭でした。

そのジャズの生きる伝説のような高柳昌行さんとデュオをやることになり、よく話をしました。驚いたのはjojoさん(高柳さん)はブラジルにもピアソラにもシャンソンにも精通していることでした。(ピアソラの楽曲の録音もしていました。)ブラジルものに関しては親友でもあった渡辺貞夫さんからいろいろと情報を得ていて、貞夫さんの歌い口にちょっと似ているパウロ・モーラも教えてくれ、彼の録音した「鱈の骨」をやりたいね、とおっしゃっていました。これが大変技巧的なショーロなのでした。

あとはもう豊潤なブラジル音楽の泥沼にニタニタしながらずぶずぶとはまるだけでした。ミルトン・ナシメント、シコ・ブアルキ、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、エドゥ・ロボさんたちほとんど同年代の天才たちにはまり、エリゼッチ・カルドーゾ、エリス・レジーナ、マリア・ベターニャなど歌姫にはまり、バーデン・パウエル、ハファエル・ハベーロ、ギンガなどのギタリストにはまり、(名前の列挙などできるものではありません)、人生全部賭けたって時間も資金もとうてい追いつかないでしょう。

その豊潤なブラジル音楽の底に流れるのがサンバのビートであり、ピシンギーニャのメロディ、ジョビンの知性。ピシンギーニャとラセルダの作ったショーロ、エルネスト・ナザレー、ヴィラ・ロボスなどクラシックとポピュラーの境界線上にある名曲たちが、このんでクラシックのピアノリサイタルで取り上げられているようです。やっとニッポンもそういうところまで来ました。これらの音楽をじっくりと味わえるのです。

即興やオリジナルを演奏し続けていた私の経歴の裏に流れるブラジルを後押ししてくれたのがオオタマルさんであり、かみむら泰一さん、うたをさがしてトリオでした。

そのかみむら泰一さんと27日キッドアイラックホールでショーロと即興と泰一オリジナルの演奏会があり、録音も予定されています。上記の「鱈の骨」もやる予定です。

大変寒い季節ですが、当日のキッドは暖かな音楽が溢れることと思います。ご来場ご検討くださいますようお願い申し上げます。私も予約受付いたします。

1.27wed.20:00-@明大前キッドアイラックホール

かみむら泰一&齋藤徹 Duo 公開レコーディングライブ!!

ショーロ&オリジナル&即興

かみむら泰一(Tenor&sopSax)齋藤徹(Contra bass)

世田谷区松原2-43-11 1F

03-3322-5564 MC前売り2500円当日3000円

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