土神と狐@山の上ギャラリー

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山の上ギャラリーでの「土神と狐」終了しました。
前回はずいぶん前に小林裕児さんとLIVEペインティングの会をやりました。今回は内田慈さん(女優)広田淳一さん(演出)と宮沢賢治作「土神と狐」の読み語りの会でした。巨大なガラス窓の向こうは森、リスが走り回っています。賢治さんの舞台としては理想的です。ギャラリーは古民家を改造し、床の木も特別仕様になっていてすべてが美術作品のようです。木の響きが本当に美しい。プレーンガット弦がピッチカートもアルコもこの上なく美しく響きます。

到着早々12:00過ぎより通し稽古。前日21:00過ぎまで稽古していたので、そのまま続いている感じですが、小林裕児さんの多くの新作が飾ってあり、自然環境がまったく違い慈さんもメイクをばっちり仕上げています。いきおい、軽く通すつもりでしたが、キッチリと全部通しました。

裕児さんは創作意欲がますます旺盛になっているようで「マジスゲー」です。本当の天職なのでしょう。絵を描くことが生活のほとんど全てという生活を30年以上続けていらっしゃるとのこと。振りかえって私は事務ばかりしています。なけなしの才がなくなってしまう〜〜。猛省。

満席の客席。「こうやって耳から聞くと、賢治さんの物語が全く違うように聞こえました」とか「やっと意味が分かりました」とか「違う解釈をしていました」「泣けて泣けてしかたありませんでした。」「最初は土神が可哀想で泣けて、今度は狐が可哀想で泣けて」など感想が聞かれました。

慈さんは稽古当初「朗読会」のようになるのか、と思っていたそうですが、稽古が進むにつれ、それでは違うと思い、全て暗記し、演技をつけ、完全な一人芝居(with音楽)に仕上げました。その熱意は称讃されるべきです。芝居用に書かれていない短編小説を全部覚えたのですからたいしたものです。私もだんだん慈さんの呼吸を把握できるようになり、合間合間に即興的に音をつけることもできるようになりました。劇団「太虛」での10年間の経験が役に立っているのかもしれませんね。

美人女優さんが演じるのですから「樺の木」中心になるかと思いきや、樺の木はだんだん重要ではなくなり土神と狐の心象風景が物語の軸になりました。単なる三角関係の嫉妬の話から進んで、土神と狐が同一人物の二面性かもしれない、さらには、土神と狐が誰かに「殺されたい」という競争を繰り広げているのかも、とさえ解釈が進みました。

矛盾だらけの思惑・暴力・殺・死・愛などが自然の中で繰り広げられ、そのまま重く暗く突き放すのではなく、森で起こった寓話として昇華すべく音楽を考えました。さもなくば辛くてしかたありません。最初の長調の曲を最後にも配しある種の「救い」を提示しました。

広田さんの明晰な分析、慈さんの柔軟な対応・体当たりの演技が実を結びました。ヨカッタヨカッタです。若いってすばらしい、はい、ジジイの嫉妬です。

来年1月15日東中野ポレポレ坐で再演が決定しました。

山の上ギャラリーが大船だったので、厚木で投宿。これから東名高速道路を西へ向かって「うたをさがしてトリオツアー」へ出かけます。とても良い形でスタートできる幸せ!

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