うたをさがしてトリオツアーレパートリーその2

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うたをさがしてトリオツアーレパートリーその2

乾千恵・齋藤徹の共作についての説明です。

舟唄

「ミモザの舟に乗って」というお話(乾千恵作)の時に披露しました。(ポレポレ坐)
曲自体は少し前にあり、田中泯・ベーストリオ羊(瀬尾高志・内山和重・徹)螺鈿隊(市川慎・梶ヶ野亜生・山野安珠美・小林真由子)で「オンバク・ヒタムーもう一つの黒潮」公演(座高円寺)でやった時に演奏した記憶があります。オールで漕ぐボートの単純な動きをそのまま和音進行に使ったので、輪唱が可能になります。箏・17絃が重なり波を立てて進むようでした。「かなしみと我が身一つ、積み込んでいざ行こう!」と力強く呼びかけます。

よみがえりの花が咲く
オペリータ「うたをさがして」用のレパートリー。
よみがえり・千恵さん・バルタール・ピアソラとくると連想として浮かぶのが「リナシェロ。3001年のへのプレリュード」でした。「甦れ!」と力強く連呼するバルタールやミルバが思い起こされました。しかし、千恵さんにはその連想ではなかったとのこと。曲調を変えた覚えがあります。
ピアソラの3・3・2ビートやリベルタンゴ系のコード進行を使った前半。ここでは喜多直毅さんのタンゴバイオリンが冴えを見せます。ジャンさんの踊りも強烈でした。後半「お前と共に生きよう〜」と続く当たり、実は私がオペリータ中で1番好きなところです。どうしても下手くそながら歌ってしまいますね〜。

夕暮れの数え歌
千恵さんとの合作の記念すべき第一号です。今でもこれが1番というファンが多くいらっしゃいます。あるリハーサルの直前にあっと言う間にできたものでした。こんなに簡単にできるものか、と驚いた覚えがあります。最初のフレーズをつまみ出したら最後までずず〜っと繋がっていた、という感じです。

夕影させば
三絃の高田和子さんの追悼で作った「オンバク・ヒタム桜台」(西陽子委嘱)の第2楽章が使われます。ペンタトニック(5音音階)で何か作れないかな〜と思っていて作った部分が最初にでてきます。厳密に言えばペンタではないです。私のとても好きなメロディのところで「ベースアンサンブル弦311」で演奏した時には1人1人にコトバを作ってきて歌ってください、と頼みました。田辺和弘さんを除いて歌など歌ったことのないメンバーが毎回、はずかしさを克服しながら歌いました。DVDになっていて、それを観たプラハの映画学校の若き監督がその部分を使った映像を作りました。アジアの少数民族の歌のようにでも響いたのでしょうか・・・

オペリータ上演時には、六調になって踊るシーンもあり、ジャンも直毅さんもみんな踊っていましたね。楽しい瞬間でした。
最後の部分は、別れの哀しみを切々と歌うシーンになります。

ひかりしづけき
千恵さんのお知り合いの若き死に際して綴られたコトバだそうです。最初の部分の「アヴェ・マリア」の響きを大事にしました。歌われることを考えて作られたコトバではないので、多くの部分に分かれ、歌うのが大変ムズカシイということです。スミマセン。菩薩じゅんこさんは何の苦労もないように歌ってくれています。影にはいろいろな努力があったのでしょう。ありがとうございます。

旅人の歌1
ジャンさんが鈴(チベットのリン)を鳴らしながらダンスするのが目に焼き付いています。巡礼の鈴。コンポステラ。人生は巡礼のようです。リンリン、リンリン。

私の道しるべ(旅人の歌2)
ワルツを伴い進みます。私はワルツが好きです。右へ左へ願いのように身体を預ける。遠くへ届けたい願い。果てしのない永遠に続くワルツです。
その後、二つのジプシー風メロディがでてきます。これはルーマニアのシビウ演劇祭に出たとき楽屋で閃いたものです。このメロディに言葉がない、あなたなら歌えるかも知れない、と話は続いていきます。そんな台詞をジャンさんは日本語でやりました。アンコールで聴衆とこのメロディを歌ったことも忘れられません。

子守唄
大きく大きく揺れる子守唄、果てしなく下降し眠りに導くメロディ、そんなことを頭に作りました。これもあっと言う間にできました。

石のように
リディアン旋法でつくりました。哀しいです。このメロディをマレーシアのカムルル・フシンさんとじゅんこさんと演奏したことがあります。フクシマのことを題材としている、とだけカムルルさんには伝えましたが、リハーサルの時間も短くて、くわしくは伝えていませんでした。本番ではじゅんこさんとカムルルさんの掛け合いの中で、思いが高鳴り、カムルルさん号泣してしまい演奏継続不可になりました。なんて純粋なミュージシャンだろう、私はよごれちまったな〜と反省したものです。

星がまたたく
岡部伊都子さんの追悼だそうです。流れ星の流れる様子や満天の星を思いました。ちょうど旭川モケラモケラで留守番をしているときに作りました。旭川の星空もすばらしいです。この歌も大好きです。

自分の曲を大好きとか、気に入っているとか、イヤミに聞こえるかも知れませんが、私は作ったときだけちょっと関わったという感じです。歌として生き始めているのでしょう。曲は「作る」というより「見つける」と言った方が似合っています。こねくり回してつくるのではなく、ふっと端緒をみつけてグイッと引っ張り出すと全部出てくる、という感じです。曲作りでは大尊敬しているシコ・ブアルキさんは、冗談のように「今回の曲は〜〜さんに頼んだんだ」と自分を客観視して語っていました。なんとなく分かります。

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