「はな8」間近 ラッチョ・ドローム西へ東へ
トニー・ガトリフ監督「ラッチョ・ドローム」(良い旅を!)は、インドを発祥とするロマ(ジプシー)文化が西へ西へと進み、最後にフラメンコに行き着く(ラ・カイータの歌唱)ところまでを描いた映画です。その後も「ガッチョ・ディーロ(よそ者)」「ベンゴ」「めまい」「僕のスウィング」などトニーさんはロマを題材に映画を撮り、アラブとフラメンコの関係を描いていきます。「ラブユー東京」をフラメンコ歌手に歌わせたり(もちろん日本語)も実に自然。
「ベンゴ」の主演はアントニオ・カナーレスさんは、昨年東京・名古屋・京都と森田志保構成・演出「Plata Y Oro」で志保さんと共演をしています。
今回の舞台での歳年長としては、(フラメンコ自体に本質的貢献はできません)いままでの長〜い経験を活かした新たな視点を提出できればと思って関わっています。
スペインの古謡「ラ・フォリア」や自作のトルコ風マーチ、マーチの2拍子とプグリエーセのジュンバを交錯させ、アラブ風サンブラへ持って行くこと、ギル・エヴァンスのサエタとサエタデルシレンシオを繋げること、コントラバスを十字架に見立てて背負って歩くこと、などなどです。細かなことかもしれませんが動機は十分あります。
12拍子の比較のシーンもできたらと思っています。荒唐無稽かもしれませんが、トニー・ガトリフがインドから西への道を追ったのに対し、東への道もあったのではないかという推量(あるいは夢)です。ユーラシア大陸の西の果てのイベリア半島のフラメンコに対し、東の果ての半島は朝鮮半島のシャーマン音楽。
シャーマンとの交流で知ったリズム・チャンダン(長短)は12を基本として、2と3の組み合わせでいろいろバリエーションがあるのです。12は、12ヶ月でもあり、24時間の半分でもあり、60分の五分の一でもあります。孫子の兵法由来という36拍子の7体(チルチェ)は、(3_2)(3_2)(3_3)(3_2)(3_2)(2_2)(3_3)です。フラメンコも3と2を組み合わせたものが多いです。アクセントの位置が違う(韓国が前拍強調に対し、フラメンコは後拍強調)ので一聴似ていませんが、構造を思うととても興味深い相似が見えます。
東西の果てまで行かなくても、アラブのカマンチェという楽器は、昨年共演したマレーのカムルル・フシンさんが弾いていたルバブにソックリです。ルバブが韓国へ行くとヘーグムになり、日本で胡弓になったのでしょう。沖縄の四つ竹がインドにもありますし・・・
コントラバス隊(20代から60代)5名、もの凄いフラメンコプーロの嵐の中で、東の果てのイベリア半島を照らし、窓を少しでも開けることが出来るか・・・
◆森田志保フラメンコ公演「はな8」公演概要
<日時>
2015年11月19日(木)、20日(金)
開場19:00/開演19:30 ※両日とも
<出演>
森田志保(バイレ)
Manuel de la Malena(カンテ)
Diego Gómez(カンテ)
Emilio Maya(ギター)
柴田亮太郎(ギター)
齋藤徹(コントラバス)
田嶋真佐雄/田辺和弘/カイドーユタカ/落合康介(コントラバス)
<会場>
座・高円寺2
http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
<お申込み・お問い合わせ>
専用メールアドレス:
ShihoMorita.hana@gmail.com
Tel&Fax:
0422-20-5898(トルニージョ)
<チケット料金>
全席指定
予約申込6,500円/当日券7,500円
<主催>
トルニージョ
<助成>
平成27年度 芸術文化振興基金助成事業
<後援>
一般社団法人日本フラメンコ協会
一般社団法人現代舞踊協会
セルバンテス文化センター
*森田志保 オフィシャルページ
*森田志保Facebookページ