自閉症プロジェクト 続報

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ドイツは「黄金の」紅葉と言うそうです。なるほど黄色に変化する葉が多いです。日本は「紅葉」というくらいですから紅く色づく葉が特徴的です。風がびゅんと吹くとさながら「桜吹雪」のように黄色の葉っぱが舞い散ります。森は落ち葉で埋め尽くされます。ガサッガサッズッズッと靴を引きづりながらの散策はなかなか楽しいです。

自閉症プロジェクトは落葉のようにどんどん進んでいます。ミーティングの度毎にゲストを呼んでいただきお話を伺います。ともかく1人1人が全く違う症状を持っています。施設で重職につくエリカさんと息子(50歳)のアンドレさん。アンドレさんは絵描きで、カッセルのドクメンタにも展示した経験があります。どのように症状が現れたか、いままでどのような変化があったかなどを話していただきました。今は、遠くまで1人で列車に乗り移動も出来ますが、いろいろなときがあり、その変化はとてもゆっくり。

2人のサヴァン症候群(というより超能力者)の紹介もありました。Eさんは人の心が読め、ケアをしている人が「あっ、あの人~さんに似ているな~」と心で思っただけでEさんは「そうね、~さんに似ている」と言うそうです。Sさんは過去・現在・未来の区別はないのですが、予知ができて「この車、事故」というと一週間後に事故に遭ったりするそうです。直接言われた人から聞くのでリアリティがあります。が、あまり、「不思議大好き」に成らないように要注意します。

翌日、ジャンさんがレギュラーで自閉症施設でのダンスワークショップをやる日だったので、それに合わせてみんなで参加しました。私もコントラバスをもって行きました。演奏は遠慮した方が良いと言われるのも覚悟の上でしたが、やってみましょう、とのことで「雅」を出して演奏開始。当麻のかたるべプラスでのワークショップを思い出します。突然自分の手に噛みついて叫んでしまう人、急に自分の頭や顔をもの凄い力で打つ人もいます。

この場では、長調系のワルツがとっても「はまって」いました。まあ、コントラバス一台でできることは限られていますが、限られていることが大事なのです。耳を澄まさないと聞こえないことが大事なのです。待つ事が大事なのです。コントラバスはそういう対応ができます。すばらしい楽器なのです。便利でないから。

東田さんの本で自分の頭を打つことも書いてありました。「もしかしたらここにいる全ての人が演奏を十分に聴いて味わっている。ただ身体が言うことを聞かないだけで特異な行動をしてしまう」ということを想像するだけで全く違う視点を得ることができます。本当にそうかもしれないのです。ドキドキしてしまいます。

東田さんの本・DVDはこちらで大好評です。ジャンはフランス語訳、ステファニーはドイツ語訳(数冊購入して多くの人と共有したいとのこと)を持ってミーティングに参加。本日はDVDも千香子さんの通訳で少し観ました。当麻かたるべプラスから推薦された本も持参しました。

本日話しに来てくれたのは自閉症で子供4人のうち2人は自閉症、博士号をもち、本当に頭の良い人でした。吸い込まれそうな目をしています。強いです。一緒にいるだけで自分が試される感じがしてしまいます。

自閉は、劣っているのではなく、個性なのだ、という説も分かりますが、一歩進んで、彼らは何でも理解していて、しかし、身体をコントロールできない、自分の身体・脳と戦っている、ということを仮定すると、身体感覚を重視するダンス・音楽は、逆の意味で役に立てるのでは、という仮定が成り立ちそうに思いました。

南谷洋策さんから示唆を受けたディディエ・アンジュさんの「皮膚・自我」による音響と自閉の関係、「自閉」と閉じるイメージが強いけれど、逆に「閉じていない」「閉じたいのだ」と仮想できないか?子宮の中での元音響空間とは何?

さまざまな考えが頭を巡ります。本当に貴重な機会を与えられました。せいぜいガンバリマス。

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