私の音楽キャリアの中で、邦楽・雅楽、そして韓国シャーマン音楽と出会った経緯やらエピソードから始まり、長短（チャンダン）の意味、シャーマンの社会的差別、実際の共演上での感想、衝撃、影響などを、実践を交えて紹介しました。

そして、そうです！フライオーレ「雅」での初演奏になりました。ライオンヘッドの「Barre」とは全く違う傾向の音です。そのほうが好ましいのです。同じ傾向の音だったら「雅」を演奏することが稀になってしまいます。明るく・反応が早い音を楽しみました。

ユーラシアン弦打エコーズの1992年の神田パンセホールでの演奏を改めて観て、いろいろな意味で私の大きなエポックだったなと思いました。笙・篳篥･オーボエ・箏アンサンブル・エレキギター・コントラバスに、韓国伝統楽器（ヘーグム・コムンゴ・テピョンソ・ケンガリ）が入るわけです。こんなことをよくやったものだな、と我ながら思いました。

金石出・安淑善・李光寿・李太白との共演は瑞々しく時代を超えていました。特にソクチュルさんは偉大です。韓国ものの最後に2年前のユーラシアンエコーズ第2章DVDからジャンのダンスも紹介。今観てもドキドキします。

韓国シャーマン音楽からは「信じること」を教わったのです、と私の口からでてきました。これには自分でも少し驚きました。そうだったのですな。

韓国ものだけで1時間を越えてしまいました。いそいでマレーものに移ります。

ザイ・クーニンの美術・歌唱・ダンスの紹介では、多くの驚嘆が客席から聞こえました。ザイの父との共演、マレー音楽などもどんどん映しました。

1番最近のものでカムルル･フシンLIVE＠ポレポレ坐。「オペリータうたをさがして」の中から「石のように」をじゅんこさんとトリオで演奏した部分を流します。リディアン旋法で書かれたメロディは「生と死」を表すと思っていて、ここでもその旋法を使っています。リディアン旋法のことなど知らないカムルルさんが、演奏が進むと号泣してしまい演奏続行不可になったところを紹介。なんてピュアなんだろう！また、シンガポールでマレー伝統文化を尊重して探求しているザイと、マレーシアでは伝統音楽をすることが難しくなっている事の対比（イスラムの新しい文化を政府は奨励しているとのこと）も興味深いトピックです。

このあたりで予定の時間の2倍になってしまっています、そして私が言いたいことも半分くらいしか言っていませんが、会場が興味津々で集中しているのでありがたかったです。

ここでジャンさんとデュオ。12拍子を使った韓国伝統音楽からの即興とリディアン旋法を使ったメロディで、話したことの例をしめすべく努めました。

そして、質疑応答。これが濃かったです。聞いたところ、大学の哲学教授・数学教授（二人）、舞踊科の音楽家（この方はアメリカ人で、今年の夏「いずるば」でやったワークショップに参加してくれた方の親友でした。ピナカンパニーの音楽レッスンも担当）、自閉症施設のスタッフなど意識の高い人ばかりだったようです。

数学教授からは韓国リズムの12拍子から12の意味、バビロンとアラブの数学からの引用、２と３の組み合わせのこと、12音音楽と関係あるのか？などの質疑があり、リズムと意味に関しては全体に関心が高く、他の例も実演しました。

話が宗教と音楽になったり、音楽は真反対の目的のためにも使われるという話になったり、パスカル・キニャールの話になったりするともう収集がつかず、私の能力を大いに超えているのでフェイドアウト。いくつかの質疑がでることは予想できましたが、ここまでくるとは・・・・。階下でお疲れ様の乾杯をして食事をしていても、話・質問が続きます。

カフェ・アダのメメットさんはこの日に行われた故郷トルコの選挙結果に失望、日本では喜多カルテット、ベルリンでは藤井郷子ソロ、いろいろなことが巡り巡りシラスのワインでクラクラになりました。

Naël王子も聴いてくれ、CDを欲しいと言ってくれました。スロッギー（ジャン家の愛犬15歳）も立ち会ってくれ、質疑が膠着状態に成ったとき見計らったように会場を歩き回り皆の微笑を誘ってくれました。皆藤千香子さんにもさまざまお手伝いいただきました。（写真は千香子さん撮影）みなさまありがとうございました。ホッとしました〜。肩の荷が降りました。フーっ。