真夏のワークショップ@「いずるば」第2回目
今回の参加者には、今現在の私の共演者が3人もいらっしゃいます。何はともあれ、みなさんから貴重な時間とお金を頂いているのですからそれはそれは精一杯やることでしかあり得ません。ダンサー・女優・美術・書家リピーターに加え、雅楽奏者、ダンスピアノ奏者、アマチュアミュージシャンなど初めてお会いする方もいらっしゃいます。つくづく大変なことをやっているのですな~。しみじみ自戒。
参加者が椅子に座ってスクリーン、ホワイトボード(もどき)に向かうとどうしても教室っぽくなり、学校の(悪しき)記憶にひきずられるかもという反省から、身体や声を使った所作で前回の復習を織り交ぜて実施しました。
最初に声を合わせたり、身体を一緒に動かすのは有効です。特にダンサー、俳優さん達はワークショップに慣れていらっしゃるのでスムーズです。ミュージシャンはワークショップ経験もあまりなく、身体を動かしたり声を出すということも滅多にないので戸惑いながらも良い体験をしているように見えます。
私はかつて劇団の長期間リハーサルで一緒に動いたり、最近はダンスワークショップの経験も増えているので何でも無いですが、ミュージシャンは普通あまり体操などしませんな。身体を壊す一因でしょう。長く吐く呼吸についても同様かもしれません。自戒。
12拍子の分割1,2,3,4,6,で割り、カウンターアクセントを楽しむ、「ああセリム」をシュルティボックスを使ってながく歌う実践、(この曲のインスピレーションの一つがダライ・ラマだったのを思い出しました。)リディアン旋法が拡散する方向であること、輪郭との関係(これはあまりにも突飛だったらしくあとから質問が何回も来ました。来週やりましょう。)
ソウル中央日報社ホールでの「ユーラシアンエコーズ」コンサートの映像、これには金石出・李光寿・安淑善・李太白・沢井一恵・板橋文夫・私が参加しています。私が参加したCD「神命」が大変好評だったのでソウルでのコンサートに成ったわけです。はじめて金石出の演奏を観た参加者が多く、大変ビックリしていました。12拍子と自由な即興、大きなビブラート、韓国のシャーマンのことも少ししゃべりました。
「意味を伝える」ことと現場のリアリティ、言葉で伝わるもの伝わらないもの、というテーマも先週から引きずっているので、昨年ポレポレ坐でやったマレーシャーマンのカムルル・フシンセッションから「石のように」を映像で流しました。意味を知らないカムルルさんが、曲が進むにつれて感極まって号泣、演奏不可になった映像でした。「意味」は十分通じていたのです。
朗読者が「誰か」によって人は朗読会へ行き、クラシック音楽やジャズスタンダード、シャンソン、タンゴ、フラメンコなんでも「この人はどういう風に演奏するのか」を聴きに行く、あるいはCD,DVDを買うのです。
その曲を知りたいということは少ないかもしれません。同じように、シェークスピアやチェーホフの筋をしりたくて観劇に行かないでしょう。
海童道と沢井一恵さんについても伝えたいと思いました。海童道の映像はアメリカのDVDからと国内コンサート、タルコフスキーのサクリファイスから、一恵さんの「4分33秒」の演奏CD(ブレーメンLIVE)。そこから無言唄(聲明)の話、荘子の音楽論(人籟・地籟・天籟)へ行きます。聴くこと・効く・訊く・聞く・貞くことのニュアンス。ジャック・アタリ、ニコラウス・アーノンクールの本からノイズ、現代の音楽について。だんだん乗って来ます。久田舜一郎さんとの出会いの話から時節柄もあり先日キッドでの「憲法九条」の映像。
映画「駱駝の涙」から、演奏前の馬頭琴を駱駝のこぶにかけて風で鳴る音のこと、箏の一番良い音、私のベース横置き奏法への繋がり。
最後の30分になり実演。私は横置き奏法のままテクニックを使わない方法、尺八、バンドネオン、笙、声、銅鑼、シュルティボックスなどで15分くらいの即興演奏。演奏しない人もミラーニューロンやミームを意識しつつ積極的に参加、静かに平和に終わりました。
前回同様、大変質の高い質疑応答がつづきまた時間を延長してしまいました。参加者も「一生懸命」なのです。
ひとりひとりの顔がわかる人数なのも良いですね。もちろん私の答えられない質問も来ます。答えられる範囲で答えます。疑問・質問を喚起することがWSの目的でもあります。私も実践を通して考えて行きます。
さて皆さまのおかげで無事に2回終わりました。のこり2回です。
真夏の徹ワークショップ@いずるば
日時 8月23日・30日 14:00~17:00
場所 いずるば http://izuruba.jp 〒145-0072東京都大田区田園調布本町38-8 東急多摩川線 沼部駅下車 徒歩5分
講師:齋藤徹
受講料:1回¥3.000
一般、プロ・アマの表現者 すべてを対象として、8月の日曜の午後に「いずるば」でワークショップをします。音を意識した生活、音を取り戻し、より豊かな生活ためになれば!と願っています