問い
今年に入ってからもなにやらワサワサと仕事をしてきました。インプロの他にも現代邦楽、ショーロ、MPB、アルゼンチンタンゴ、スペイン音楽も積極的にやってみました。そりゃ長年聴き続けているし、耳も肥えてきますので、それぞれのエッセンスのようなものも感じることができますし、自分なりに演奏することも可能です。
結果、ブラジル、アルゼンチンの人、スペインの人が「なんで地元の人も知らないような、ましてや若者は触れたことも無いような音楽を知っているの?」「なんでできるの?」と褒めてくれたり、ビックリしてくれたりもあるでしょう。
それって素直にうれしいけれど、逆の立場を想定してみましょう。外国の方が邦楽の珍しい名曲、美空ひばりや中村八大の隠れた名録音、能楽・謡曲をとりあげて演奏していることと鏡であることを忘れてはなりませぬ。
例えば昨日の3ベース+うたにはヴァイオリンの喜多直毅さんも加わって、とても良い演奏ができました。共演者たちの成長に驚くのも嬉しかったし、悩みを共有することも嬉しいものです。(3つの月に2つの太陽でバランスがよくなったのは事実。)演奏曲はアストルピアソラ3曲、クルト・ヴァイル1曲、パラグアイのグラアニ族の歌、ガルシア・ロルカの採譜したスペイン民謡、ラ・フォリア(スペイン古曲)、私のオリジナル4曲でした。
私のやり方としてはエッセンスを重視・尊重しつつ、今・ここ・私たちを活かすというなかなかの綱渡り方法です。ポップスのように混ぜて軽みを出す方法はなかなか採れません。私の限界はポップになれないことでしょうね。
しかし、週末にはブラジル音楽をするし、5月はジャズも視野に入れているし・・・
一つの開き直りとして、こう考えられます。
こうやってブラジル、アルゼンチン、スペインなどの各国の音楽を平行して受け入れて自分の身体と楽器を通して出していく現象・状況こそが今・ここ・私であるのかもしれない。
古今東西の音楽を聴き、さまざまな国・地域の食べ物を食べ、文化に触れています。ドイツ在住のフランス人ジャン・サスポータスさんから日本人の創った「気の道」を習ったりしているのが現実。
いろいろな音楽刺激を受け入れているのって、暴走族や爆音ロッカーの兄さん姉さんが「このデカい音に耐えているオレってカッケー」というのと近い?のかもしれません。私が毎日ブラジル音楽、フラメンコ、タンゴ、クラシックなど1種類の音楽だけを演奏し続けることは出来ないでしょう。
それを「良し」とするか、ひとつの統合へむかう道とみるのか、生活を成り立たせる職業とみるのか、こうしているだけの時間が残されているのか、基本的な問いは常に隣にあります。
ともかく地道に大切に音楽に関わっていくしかないっしょという薄曇りの新年度。