3月16日のLIVEの補足です。
演奏予定曲目について:
喜多さんのブログでも明らかなように「シャコンヌ」の三重奏版の再演があります。(クリスマスイブのポレポレ以来です。)1日1回は弾いているということです。彼のバイオリン人生の中で一つのきっかけになることでしょうし、ソロでも録音でもチャレンジすることになるでしょう。
シャコンヌに至る音楽としてやはりポレポレと同じく「テネブレ」もやるでしょう。Paul Celan自身の朗読も聴いているし、ジャンさんのドイツ語、じゅんこさんの日本語ということもあるかもしれません。
訳についてはそのころの投稿をご覧下さい。テネブレの儀式のように暗闇の中での音楽やダンスがとても興味があります。
「うたをさがしてトリオ」のレパートリーで「祈り」ということで思い出すのが「おらしょ」です。「ぐるりおざ」とその元歌グルリオザ・ドミナもつづけて演奏。アンゲロプロス「永遠と1日」から「ああセリム」。オペリータから「石のように」「旅人の歌1」この二曲はリディアン旋法でできています。生と死をそのまま表してしまう旋法のように感じています。マレーシアの伝統音楽家カムルル・フシンさんと「石のように」を演奏した時は、カムルルさんが感じ入ってしまって泣き出して演奏不可になったのは印象深く覚えています。コトバを越えた音楽の力なのでしょうか・・・
ビオレータ・パラの「ありがとう命」もやりたいですね〜。
こういうレパートリーができるメンバーなのです。
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歌。うたう。
舞。雨を請う。
音。神のおとづれ。
楽。うたい、おどる。
楽師がつたえたものがたり、「詩経」
孔子もうたい、舞った。
花。
「お前は美しい」と、うたうと、病もいえる。歌とはそういうもの。
歌はみな呪歌。
神との交通の手段。
(白川静+梅原猛 呪の思想 神と人の間〈平凡社〉)
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3月16日(月) 羊の歌「祈りの音楽 Music of invocation」 Jean Laurent Sasporteswith 齋藤徹(コントラバス)さとうじゅんこ(うた)喜多直毅(ヴァイオリン)
■会場:キッドアイラックホール(http://www.kidailack.co.jp) ■時間:19:30 open / 20:00 start
■料金:予約3,000円/当日3,500円 ■予約:Tel:03-3322-5564 Mail:(arthall@kidailack.co.jp)
3月20日は四谷三丁目喫茶茶会記でかみむら泰一・ジャンサスポータス・齋藤徹があります。
とてもていねいなオファーから始まったかみむら泰一さんとの共演は、一気にジャンを巻き込むことになりました。何年たってもそうなら無い人もいれば、こうやって共演してすぐジャンですね。人の繋がりはこちらの思いとは違ったところで動いているのでしょう。我らは従うのみです。出会いの実りを粛々と収穫するのです。昨年の「いずるば」での「竜太郎10番勝負!」への複数回の参加もここへ至る大きな縁のようです。
かみむらさんは、音楽と身体・呼吸、即興と作品、そもそもなぜ?というような根本的なところへの問いかけを続けています。リハーサルでも話しのほうが多かったりで、荘子の音楽論や海童道、金石出の話、即興の話、音色の微妙、素材の大事さ、現代美術・美学との関係、東洋の身体、ピナの独自性・現代性などなど私のストライクゾーンとビッチリ重なります。簡単に分かったふりをしない慎重さと品は、実は、彼の音楽に対する「欲」の深さなのでしょう。
試しにはじめたのがショーロでした。そう、ブラジルの器楽曲です。ちょっとひらめいて彼にショーロをやってもらおうと思ったのでした。そうしたら彼もハマってくれました。話は早いです。こんどはジャズをやろうかという話にもなっています。ジャンルは何でも良いのです。自分と世の中の関係、音との関係、今との関係に敏感であれば、複数のジャンルで共演した方が「きっかけ」や「ヒント」は多いはずです。
ジャンは、実はサックスが好きでアルトを持っていて、最初会った頃は、木製のサックスを持ち歩いていました。サックスのケースを求めて大久保を案内したこともありました。ブッパタールには、WIO(ブッパタール・インプロビゼーション・オーケストラ)があり、彼もそこに所属しているのです。この頃は、ヴォイスで参加することが多いとのこと。WIOはグンダ・ゴッチャーク、クリストフ・イルマーらのリーダーシップで大変良い仕事をしています。私も2回参加したことがあります。
さてさて楽しみであります。
3月20日(金) ジャン・サスポータスwith齋藤徹(コントラバス)かみむら泰一(サックス)
ショーロや即興をキーワードにデュオを始めたかみむらと徹がジャンをゲストに迎えたセッション。かみむらとジャンは初共演になります。
■会場:喫茶茶会記(http://gekkasha.modalbeats.com ) ■時間:19:30 open / 20:00 start
■料金:2,500円+order ■予約:Tel:03ー3351ー7904
3月21日(土)は西荻アケタの店でMesa(ブラジル音楽の食卓へ)のLIVEです。
神戸大震災のチャリティーコンサート(神戸ジーベックホール)に出演した時に初めて久田舜一郎さん(小鼓)と共演させて頂きました。即興のセットだったので、何が起こるかわからない状態でただ指示されたとおりに舞台に上がりました。バール・フィリップスさんも吉澤元治さんもいらっしゃいました。前列に小鼓と笛、後列に4人〜5人の多国籍ベーシストだったと思います。
笛と鼓と声に、即反応している外国人ベーシストに対して、私は「ここは待つところでしょう、会話をするところではないはず」と思ってなかなか音が出せませんでした。そして、もの狂いの鼓・笛には深いところで心揺さぶられました。
なぜ、「ここは待つところ」とわかったのか、ということに大変引っかかりました。日本人の血のせいとか民族性とかで解決・納得したくなかったので、翌日すぐに震災で崩れかかっているビルで行われた久田舜一郎さんのLIVEに飛び入りして爪と血を飛ばして演奏しました。それから久田舜一郎氏とのお付き合いが始まったのです。
ブラジル音楽のLIVEの話になぜこの話をもってきたかというと、自分自身と音楽の関わりがちょっと似ているのです。ブラジル音楽がコトバもわからないのに「なんでこんなに好きなのだろう?」というのが疑問なのです。「前世はブラジル?」とかで解決・納得したくありませんので、演奏することで何かをつかもうと思っているのです。
おそらくブラジル音楽だけを毎日演奏し続けることは精神的に出来ないでしょう。行き先は、やっぱり日本語でのオリジナル楽曲なのでしょう。でも、とても大事でとても愛しています。そんな実験のLIVEなのです〜。
演奏予定はトム・ジョビン、シコ・ブアルキ、エドゥ・ロボ、ガロート、ピシンギーニャなどなどです。
本当に素晴らしく、豊かな音楽たちです。
「ブラジル音楽の食卓へ」とは「これが私の好きなブラジル音楽です」という意味でもあります。
アケタの店にはもう30年出演していて数え切れない想い出があります。
http://www.aketa.org
〒167-0042 東京都杉並区西荻北 3-21-13 吉野ビルB101
「アケタの店」03-3395-9507
7:00オープン
8:00開演 2,800円 1drink付
オオタマル(ギター)
さとうじゅんこ(うた)
喜多直毅(バイオリン)
齋藤徹(コントラバス)
3月22日(日)に、エアジンで新しいシリーズが始まります。
「徹・庄﨑・竜太郎、エアジンの四季」
齋藤徹(コントラバス)庄﨑隆志(ダンス)矢萩竜太郎(ダンス)ジャン・サスポータス(ダンス)
特異な才能を発揮しつづける庄﨑隆志、昨年のドイツ公演以来乗りに乗っている竜太郎と徹が40周年を越えた老舗ライブハウス横濱エアジンで春・夏・秋・冬4回登場します。第1回目(春)は、それぞれと共演を重ねているジャンがスペシャルなゲストです。
■会場:エアジン(http://yokohama-airegin.com ) ■時間:15:00 open / 15:30 start
■料金:予約3,000円/当日3,500円+ドリンク ■予約:Tel:045ー641ー9191
心待ちにしていましたこのシリーズです。
私が35年以上出演しているこの馬車道ライブハウス(入院中抜け出して演奏したのが2回、エアジン関係で、神奈川フィルハーモニーとの共演も3回、私のキャリアの最初期からですので弱みもかなり握られています。ハイ。)
ここで、春・夏・秋・冬に庄﨑隆志・矢萩竜太郎・齋藤徹で四季を彩ろうという企画であります。
そしてその記念すべき第1回のゲストがジャン・サスポータスさんなのです。これ以上無いような素晴らしいお祝いゲストですね。これはLIVEというより「事件」です。
庄﨑隆志さんはすばらしい演出家・役者・ダンサー・画家です。メキシコシティでの現代詩祭の縁でお会いした高際裕哉さんのツテで「風の器」との共演「牡丹と馬・おしらさまものがたり」がきっかけでした。(写真中のボツフライヤの馬の絵は彼のデッサンです)
馬になるために宮崎に一週間行って馬を観察してきたばかりという庄﨑さん。その他には南雲麻衣さんと榎本さんそして私だけの舞台でした。聾の世界に初めて触れ、どうやって接して良いものか全く分かりませんでしたが、全力でぶつかっていくといういつもの我流でまたとない出会いになりました。音楽を続けてきてよかった!とこころより思いました。
音楽家と聾がコミュニケートできるなんてなかなか信じることができませんが、「できる!」のです。聞こえるひととよりも深く出来るときもしょっちゅうです。そこには「ミラーニューロン」の作用もあるでしょう。(ミラーニューロンとミーム、この2つにはとても興味があります。演奏・パフォーミングアーツにとって大変重要です。)
そういう理論を持ち出さずとも、「人が生きていて」「そこにいて」強烈に「思いをぶつけていて」狂おしいほど「信じている」そして「求めている」「待っている」。その状況に対して素直に・全力で答えていけばいいのです。コミュニケーションの基本です、人と人の関係のベースです。聞こえていてもまったく通じない人なんてざらにいます。
聞こえない人をなんて呼ぶのか、聴覚障害、障がい、耳の不自由な人、聾、それさえ知りませんでした。(聾、ということばに誇りを持っているそうです。タツノオトシゴは耳は無く聞こえないけれど、海の中では耳以外の感覚で「聴く」ことができる)。
もっともっと知らせたいと思い「牡丹と馬」をホーム、ポレポレ坐で再演、次には、当然の成り行きのようにジャン・サスポータスさんとの共演(ポレポレ坐・キッドアイラックホール)、ジャンさんとの共演では全くの即興でした。(南雲麻衣・貴田みどりさんも参加)聴衆の中には彼らが聾であることに気付かない人も多かったです。
そして米内山さん演出によるアントナン・アルトー(アルトー役が庄﨑さん)もので矢萩竜太郎クンも出演。昨年10月のセバスチャン・グラムスとのDouble the double bassツアーの中ではスーパーデラックスで8名のコントラバスと庄﨑さん・高橋愛さんと共演。あまりのシンクロに私自身ビックリしました。もはや聞こえる・聞こえないなんて超えていました。庄﨑さんは竜太郎さんのことを大変好きです。素晴らしい交流があるのです。竜太郎10番勝負!にも参加してくれました。
4月にはNHK教育テレビ「みんなの手話」で庄﨑さんと2本コントをやっているのが放映されます。5月18日にはドイツ文化会館ホールでのジャン、ウテ、ヴォルフガング、竜太郎、徹、庄﨑というセッションも企画されています。繋がりが大いに育つことを願ってやみません。
映画「ゆずり葉」での主演では大きな反響を呼んだ本格派の俳優です。2010年横浜文化賞・文化芸術奨励賞、しかも横浜市在住という横濱ゆかりの人でもあります。
庄﨑隆志(しょうざきたかし)office風の器主宰演出家
※庄﨑隆志(2字目の「崎」の旁の「大」が「立」)
俳優日本劇作家協会会員日本演出者協会会員(財)現代人形劇センター評議員
国立障害者リハビリテーション学院非常勤講師文化庁主催演劇大学講師等
1961年杉並区生まれ。19歳で裏方のアルバイトのつもりで入ったプロフェッショナル劇団「デフ・パペットシアター・ひとみ」で思いがけず役を貰い、俳優に。初舞台はギリシャ神話『オルフェ』で、二匹の蝶を演じた。その後、創立メンバー、代表となる。22歳、松山善三演出(名もなく貧しく美しく映画監督)の『赤い椿の物語』(TBS制作、人間が好きドラマシリーズ・石井ふくこプロデューサー)出演。そして『オルフェ』の主役オルフェ、ふじたあさや演出『曽根崎心中』の主役徳兵衛など、俳優として表現方法を探求しながら、演出・脚本も手掛ける。創立してから25年間、全国各地780ヶ所2000回以上公演、ヨーロッパ、アメリカ、ニュージーランド、韓国、香港、台湾、カンボジア、フィリピン等海外14ヶ国公演。京劇(張春祥に師事)、日本舞踊(花柳千代)、お神楽(松本源之助)なども学び、現在も俳優、演出、脚本、美術も兼ねて活動しております。2005年3月のデフ・パペットシアター・ひとみ退団後も、公演プロデュース、そのかたわら大学、専門学校(独)国立特別支援教育総合研究所や(財)東京都人権啓発センター、高校、全国各地、東南アジアで開かれるワークショップの講師としても活動。映画『ゆずり葉』(全日本ろうあ連盟製作)主演。著書に『障害者と福祉文化』(第3巻明石書店)、『ユニバーサルアートへの招待』(戸山サンライズ発行)がある。平成22年度横浜文化賞文化芸術奨励賞受賞
舞台出演作品
オルフェ(演出伊東史朗・美術安元亮祐)全国公演・チェコスロバキア・ユーゴスラビア公演
赤い椿の物語(演出松山善三・音楽いずみたく)東横劇場・NHKホール・全国公演
京太郎の唄(演出ふじたあさや・音楽吉岡しげ美)全国公演
遠野物語(演出遠藤啄郎・音楽矢吹誠)ザスズナリ劇場・全国公演・アメリカ・韓国公演
わんぱくスサノオ大蛇退治(演出伊東史朗)ニュージーランド・フランス・ポーランド・韓国・台湾・全国公演
曽根崎心中(演出ふじたあさや・音楽桃山晴衣)前進座劇場・全国公演・海外公演
猿の王(演出遠藤啄郎・音楽矢吹誠)俳優座劇場・全国公演他30本位
演出作品
ドッテテドッテテドッテテド賢治のトランク(脚本・演出)天王洲アイルスフィアメックス・全国公演
真夏の夜の夢(米内山明宏合同演出)前進座劇場・全国公演
オルフェウス(脚本・演出)横浜ランドマークホール・世田谷パブリックシアター・全国公演
カガミマル(演出)バーシティホール・全国公演
RASYOMON烏と風の迷路(脚本・演出)黒テント劇場、シアターカイ提携公演
雨月放浪の侍(脚本・演出)シアターカイ提携公演
白痴の空歌(脚本・演出)シアターカイ提携公演大阪・東京公演
UKIYOE(脚本・演出)シアターカイ提携公演/赤レンガ倉庫1号館
五輪書のぼうけん(脚本・演出)横浜STスポット中野テルプシコール
ブンナよ木からおりてこい(演出)座・高円寺劇場
あらしの夜に(演出)座・高円寺劇場
牡丹と馬~遠野ものがたり~(脚本・演出)他10本位
賞歴
1983年第8回国際デフ・パントマイムフェスティバル審査員賞ジュリー特別賞(チェコスロバキア)
1991年国際アピリンピック舞台芸術部門銀賞最高アイデア賞(香港)
1992年(財)朝日生命厚生事業団より「平成4年度児童福祉文化賞」受賞
2010年横浜文化賞・文化芸術奨励賞