竜太郎10番勝負!第7番 ブッパタール ORT

十番勝負 七番目 ブッパタール オルト

かつて1ヶ月レジデンスだったことのあるオルトでの初日です。馴染みのあるところでの初日は大変嬉しいものです。しかしここの聴衆のレベルの高さは誰よりも知っています。気を抜くなんて事はありえません。

竜太郎さんがこんなに緊張をしているのを見たことはありません。彼は、前日の楽しいピナ・バウシュカンパニー観劇の後の食事でも、大好きなアルコールを自主的に抜いています。偉いものです。ジャンと二人で、ワインを呑みながら、私たちにはできないよね!と尊敬しました。
自分がどこに居て、何をすべきかを本当にわきまえているのです。竜太郎さんは、人に「好かれたい」ためにサービス的な所作をしているようにも見えます。彼にとって「好かれたい」「味方になってほしい」感情は、大げさに言えば死活問題なのかもしれません。

しかしその「サービス」は最後の挨拶に限られていて、ダンスの内容にサービスは皆無、チャレンジに次ぐチャレンジでした。共演者・聴衆と共に新鮮な「発見」を繰り返しています。「発見」は一方通行ではありえません。全員同時に発見するのです。

出ずっぱりになって消耗するのではという老婆心的な危惧も全く無用。ここだ!という瞬間にサッと見事に舞台袖に下がるところもありました。四年前も観てくれた知人(哲学教授・気の道)は、彼の成長に驚いていました。そうですよね。本当に成長しているのです。「いずるば」での公開リハーサルの成果も充分に吸収 展開しています。舞台で身を投げ出す事をキチンと身体で覚えているのでしょう。そのために、安直なエンターテイメントに陥ること無く、皮肉っぽい独りよがりでは全くなく、捧げ物としてのダンス(人はなぜ踊るのか?)という側面を色濃く残すことができているのです。このバランス感覚は竜太郎さんならではのものでしょう。

10月来日ツアーのセバスチャン・グラムスさんが楽器を2台もってきてくれ(昨日ポルトガルより戻ったばかり)1台をレンタルしてくれました。残念ながらペーター・コヴァルトさんの楽器(前回のデュオツアーの時にお借りした)は、すぐに修理が必要とのことで、ハンガリー製のとてもストロングな楽器。ガット弦を張り、手なずけるだけでも大汗。しかしその音はスゲーとしか言いようがありません。ドイツ、あるいはヨーロッパの楽器の伝統と歴史と底力を感じざるを得ませんでした。一週間でどのくらい言うことを聞いてくれるか、楽しみです(私のチカラが試されているのですね。)

セバスチャンさんから日本の皆さまへメッセージをいただきました。

もう一人の共演者・ウテ・フォルカーさん(アコーディオン)はボッフムの音楽学校の教授で、4年前の竜太郎セッションの時も共演し、竜太郎さんの才能に惚れ込み、今回のツアーの発端を作ってくれた恩人です。感じることができる人達が更なる共有をもとめて企画を立てて行くという理想的な展開です。それもこれも竜太郎さんの魅力のなせる技なのでしょう。

もちろん一本締めも満員の聴衆を誘い1発で決めて、恒例のカフェ・ドゥ・コンゴでの打ち上げも楽しく、素晴らしいドイツ初日を終えることができました。
感謝感謝感謝感謝。

IMG_1694 IMG_1707 IMG_1715 IMG_1723 IMG_1771 IMG_1802 IMG_1823

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です