昨日の音の印象を忘れないうちに・・・
直毅さんがデュオCD「明」に書いてくれたように、彼とのインプロの特徴の一つは、うたが立ち上がってきたり、消えたりするところかもしれません。特に後半になり終わりに近づくにつれてその率が増えるようです。さんざんノイジーだったり、調性やメロディから何とか逃げ、無鉄砲の限りを尽くし、その濃度が高ければ高いほど、うたがふいに現れる確率が高いとも言えそうです。
昨日の演奏で「えっ」と思ったのもそのあたりでした。
トリオRhrr…の演奏の特徴は「声」でしょう。グザビエさんの巨匠的風格さえあるクラリネットは世の中のありとあらゆるクラリネット音楽をシッカリと踏まえていて、木管楽器は人の声に似ているということを思い出させてくれます。まさに豊潤な木の響きです。(最近、ミッシェル・ポルタルさんから電話があってグザビエさんの奏法について2時間以上話し合ったと言います。(いい話だな~)
そこにギレーヌさんが(ホンモノの)「声」で加わり、その二重奏に空間を与えたり、自らも第3の声になったりするのがフレデリックさん。7年前の時に比べ、自信に満ち、オーガナイズ、プロデュース、教育への実績を伺わせます。数学の天才がピアノを弾くとこうなるのでしょう。
で、後半、終わり間際に、ちょいと閃いてあるスケール感をハーモニックスでだしました。(E♭チューニングです。)勝手知ったる直毅さんがすぐさま感じ取り、この日は、民謡風なメロディになりそうでならない展開をしていると、ギレーヌさんが堂々とメロディを歌い始めました。この瞬間はドキッとしました。
私たち二人が入るとどうだった?と聞くと、もの凄く刺激になると言ってくれました。静謐の綾の調和に、「思わぬ展開」という波を与える役割ができているのかな、と思います。ともかくいろいろなものが生まれる雲が膨らんできています。彼らが関西から帰ってからまだライブあります。お聞き逃し無いよう。(関西もよろしく。有本羅人さんががんばってくれています。https://www.facebook.com/events/460124254131581/)