ブラジルとピアソラ

chico e caetano

 

ピアソラとブラジル

 

ヴィニシウス・ジ・モラエスとトッキーニョと2人のマリア(マリア・ベターニャ、マリア・クレウザ)によるラ・フーサでのLIVE(実際はスタジオLIVEだったようです)の2枚組はブラジル音楽の古典中の古典です。そのライナーの写真にピアソラが写っています。タンゴとブラジルを別々のものとして聴いていた私にはとても不思議な組み合わせでした。しかし隣り合う音楽大国同士で交流が無いわけありませんね。

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ヴィニシウス、ジョビン、トッキーニョ、ミウシャの共演DVD(イタリア)でヴィニシウスがジョビンを紹介するところで、アストル・ピアソラ、バート・バカラック、ジミー・ウエッブと並ぶ現代の大作曲家と紹介。

 

随分以前にヤヒロトモヒロさんからシコ・エ・カエターノの2番組をVHSで見せていただきビックリ仰天しました。なにせ、シコとカエターノが動いている映像がめずらしい、ましてや一緒にいるなんてアリエナイほど貴重に思っていた頃です。エリゼッチ・カルドーソとバーデン・パウエルがデュオやっているし、ミルトン・ナシメントとメルセデス・ソーサが歌っているは、シコ・ミルトン・カエターノ・ソーサ・ガルが一緒にビオレータ・パラを歌っているわけです。南米オタクとしては、もう何がなんだか分からない状態でした。

 

そしてこの番組でゲストがピアソラとジョビンの回があったという情報が有り、たしかに4人が一緒に写っている写真がありました。CDは早々と手に入れましたが、映像が観たいと思い続けていましたが、今や、それを当たり前のようにYouTubeで観ることが出来ます。

 

さすがに、ピアソラはキンテートでシッカリ演奏するのみで、共演はありませんでしたが、ピアソラを紹介するカエターノの憧れの目、演奏後シコがピアソラに抱擁するところなど、見所満載です。ピアソラのあと、シコはジョビンと共作を余裕で共演していますが、カエターノは憧れのジョビンのピアノとのデュオ、嬉しかったでしょうね~。1986年です。カエターノはジャニーズのような衣装、それに比してシコは今と同じ。その方が不思議です。86年と言えば、キップ・ハンラハンがシコの作詞とピアソラの作曲での録音を企てていて、シコは実際にいくつかの詩を書いたという話です。ピアソラはキンテートが爛熟し、世界を飛び回り多忙を極めていた頃でしょう。

 

ピアソラの作品で「ミルトンの肖像」があり、最後のグループとなったセステートの時に改作されて「ルナ」として大切なレパートリーになりました。このミルトンというのがミルトン・ナシメントのことだというのを読んだことがあります。詳しくご存じの方教えて下さい。

 

ピアソラの「タンゴゼロアワー」の冒頭曲「タンゲディアⅢ」で「タンゴ、キロンボ」と連呼させていて、裏ジャケットにはTANGO+TRAGEDY+COMEDY+KILONBO(WHOREHOUSE)=NEW TANGOと書いてあり、キロンボが娼婦館のようになっていますが、この「キロンボ」と言うコトバは、ミルトン・ナシメントにとってのテーマとなるコトバで「逃亡奴隷」の意味で「キロンボ達のミサ」という大作(本当に神父とともにミサをやっている)もあります。ピアソラやプグリエーセのタンゴのもっている鋭利なナイフ、音楽を支える生き方は激しいものです。生き方そのものなのです。昨今ちまたに溢れる「セレブ」気取りな「タンゴ」、快楽のみ追求「タンゴ」とはまったく違いますね。そしてこのCDのプロデューサーは前出のキップ・ハンラハン。いろいろ繋がります。

kilombo

シコがピアソラの未完成曲の権利を買ったとかの情報もどこかで読みました。カエターノは大ヒットしたスペイン語のうたの特集「フィナ・エスタンパ」を作ったとき、ピアソラの「南へ還る」をまさかのボサノバで歌い、しかも意外なほど大成功。同時収録の「ククルククパロマ」がヒットし、アルモドバル映画に出演など彼にとってエポックなCDでした。ギドン・クレーメルのピアソラ企画でもカエターノはピアソラ・ボルヘスとの共作エル・タンゴにナレーターで参加。

 

ブラジルの歌手の中で最高の歌を長年聴かせてくれているネイ・マトグロッソの2009年のライブ盤でピアソラ作曲の未知の曲「AS ILHAS」を取り上げています。ブラジルの詩人ジェラルド・カルネイロが作詞ですから、どういう経緯か興味津々です。私は娘の影響でネイさんのすばらしさに気付きました。(ゲイを強調しているので、はじめは近寄りがたかった。)カエターノの随分前にスペイン語の古典を取り上げたシリーズをやっていたり、顔の奇抜な化粧は「KISS」が真似をしたというように先見性がありすぎな歌手です。ハファエル・ハベロとのデュオ、カルトーラ曲集などなどまさにスバラシイ。ジェラルド・カルネイロを調べていたらギスモンティとの共作がありSimone Rasslanという歌手が歌っていました。これがまたスバラシイ!これだからブラジル音楽は底なし沼なのです。

 

リオ・デ・ジャネイロから3時間でブエノス・アイレス。

 

 

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