里亞王(リア王)観劇
我が畏友・庄﨑隆志・安元亮祐さんが中心になって2時間10分の本格的シェークスピア劇は見逃せないので、体調とスケジュールをギュウ~と合わせて行ってきました。ろう文化がどうだとか全く関係ない堂々たる劇で、お二人の力量を感じ入ると共に全員の一丸となった劇になんだか「ひさしぶり」な感覚でした。終演後の拍手も半数以上(ろう者の拍手は違います。)28日まで(満席もずいぶんあるみたいです。要チェック)。あんなに集中力のいる芝居を1日2公演するのですから、脱帽、最敬礼しかありません。先月キッドでみた四谷怪談の体力・努力にも脱帽したばかり。
思えば、役者は昔ながらのスタイルを続けています。紙の台本をもらい、台詞を暗記し、稽古に通い、演出家に怒られ、身体を鍛え、宣伝し、チケットを売り、お化粧をし、幕が開き、酒を呑み、千秋楽。ここが貴重なんだろうね。
浅草とリア王には私は大きな想い出があります。浅草から乗り継いで「東向島」(旧玉乃井)の住友ベークライト工場跡地(10000坪)で10年ほど演劇に関わりその中の最大の舞台がリア王でした。天井桟敷の若松武史さんがリア王、ちょうど現在、万有引力でリア王役をやっている高田恵篤さんがエドガー、蘭妖子さん、日野利彦さん、牧野公昭さん達が毎回参加、第1部のゴネリルは安藤朋子さん、第3部コーデリアが工藤丈輝さんでした。天井桟敷、早稲田小劇場関係者が多かったです。アスベスト館が参加したことも。日本のサブカルチャー全盛期のカリスマの香りがまだ濃厚に残っていて、しかもバブル後期で贅沢な舞台でしたね。タデウシュ・カントールやハイナー・ミュラーを知った貴重な時期でもありました。
音楽は完全に任され試行錯誤ができました。第1部では佐藤道弘(津軽三味線)・田辺義博(バンドネオン)、第2部(野外)ではブルーポールズオブリアという箏アンサンブルを組織(リーダー栗林秀明)、第3部は沢井一恵・板橋文夫・箏アンサンブル・伊藤啓太という毎回贅沢な生演奏でした。
当時と同じ都営浅草線~都営新宿線に乗っているといろいろ思い出し溜め息フーっでした。