2月の公演や映像音楽のために私の秘かなフラメンコブームは続いています。
ロルカも引きずっていて、ファリャとロルカが主催した1920年代のカンテ・ホンド大会の録音を手に入れました。その時代にして「薄れゆく本物のフラメンコを愁えて」開催されたといいますから、どんなに濃かったのか想像できません。
その中で、何と言っても惹きつけられたのはニーニャ・デ・ロス・ペイネさんのサエタ。私にとってはサエタはギル・エヴァンス+マイルス・デビスのアルバム「スケッチオブスペイン」でした。アランフェスも好きでしたが、裏面の三曲に言いしれぬ魅力を感じていました。その中でもサエタ。遠くから聞こえてくるようなマーチ。G長調の上にD長調の吹奏が鳴りマイルスがC短調で歌を意識したソロ、なんとも印象的でした。こうやって本物のサエタを聴くと、このテークはギルの音楽になっています。
フラメンコの中でも宗教色の強い、そして、歌手にとっては特別な意味のあるものと言うこと。ギルのラテン博識には脱帽です。そういえば、ギル・マイルスであまり評判の良くない「クアイアットナイト」でオリジナルとして演奏している曲は、カエターノ・ヴェローゾがCDのタイトルにした「プレンダ・ミーニャ」ですね。こんな渋い伝承曲もギルは知っていたのには脱帽。
フラメンコ歌手エストレジャ・モレンテも発見。「Mujeres」(女達)というCDは女性達に捧げられていますが、捧げ方が興味深いです。
ガルデルの「ボルベール」はペネロペ・クルス(アルモドバルの同名の映画に主演)に捧げられ、「ラ・ノーチェ・デ・ミ・アモール」はチャベーラ・バルガスに捧げられ(この曲は「そして神戸」に聞こえて仕方ない・・)、「ヌ・ム・キ・テ・パ」はニーナ・シモンに捧げられています。
エストレジャさんの歌声はとても魅力的、2月の公演で共演予定のイマエダユカさんの声を思い起こします。少し前にブログで取り上げたフラメンコ男性歌手シガーラの全ラテン企画より好ましく思いました。