「その空間に集まる人は、オーナーあるいは主催者に似ている」法則が見事に当たった2日間でした。
まず、茶会記での異文化交流ナイト。日頃から「コラボレーション」とか「異種格闘技」などと言わない方が良い、と感じています。もう30年もそんなことやって来ましたから今さらなんなのよ、という感じ。
しかし、この「異文化交流ナイト」というネーミングはプロデュースの芦刈さんも集まる人も実感を伴って使っているようです。私にとって昔の出来事でも今の二十代にはリアリティがあるのでしょう。私たちがせいぜいやってきたことがあまり実を結んでいないとも言えるかもしれませんね。
4組演奏の大トリの午後10時開始ということは、おそらく10時半開始でしょう、との読みはあたり開始したのは11時近くでした。若い人達の熱気とタバコとアルコールでもうもうとしています。しかし、決して乱れてはいません。このあたりが今どきなのでしょう。
この後すぐ世界旅行に出る芦刈さんのためになんとか良いはなむけができるように、彼のリクエストを元に選曲し、最後には彼を呼び、彼がこだわり続けている私の「E♭チューニング」でデュオをしました。
芦刈さんのような人が本当にたくさんいました。終わった後、話しかけてくる内容も何となく似ています。この人達は何を求めて、何を得て、何に憧れて、何を達成しているのか、私にはわかりません。芦刈さんともレッスンの度にいろいろ話しましたが、どれだけ通じているのか、わかりません。会話というのは、コミュニケーションというのは、まあそんなものでしょう。どこかひっかかった単語があり、それをいつの日か、実感を伴って思い出す、まあそんなものでしょう。
ですから、疲れているからっていい加減な答えは許されません。せいぜいお話をして帰りました。あの空間に67名ということ。そりゃギチギチですわ。
ORBIT @Ftarri
2人合わせて100歳ということで始めたOrbitは、しばし休止していましたが、FTARRIの鈴木美幸さんの依頼で久々の演奏。もう2人合わせて115歳になっています。休止していた間のそれぞれを確かめるのも楽しいことです。まあそれにしても今井さんは「演奏」できるひとだわな。2人合わせて115歳が、1時間メチャクチャをやるのです。メチャクチャを1時間はちょっとやそっとではできません。やってみればすぐわかります。ここで言うメチャメチャというのは「音楽にしない」ということです。そんなに簡単に音楽にしてしまわないほど音楽「欲」が強いわけです。2人のデュオで私が好きなのは、特に後半に、歌が生まれそうになる時です。さんざんっぱらメチャクチャをやっているとさすがに歌がうまれそうになります。私はそれに対して肯定的ですので、歌ったりしてしまいます。今井さんはあくまで「欲が深い」。めったに歌にはしませんが、美音になる時はたまにあります。そんなことを楽しむことができる聴衆だととても良い空間になります。この日もそうでした。
ここFTARRIの鈴木美幸さんは、IMPOROVISATION FROM JAPANサイトの主催者です。実は、このサイトの最初が私でした。その後、このサイトの指向が私のようなアコースティック楽器のインプロとはちょっと変化してきました。箱入りのCDセットが世界中で驚くほど売れたのも皆で驚いたものです。そのボックスセットでも私はミッシェル・ドネダとのアコースティックでしたが、他のトラックはエレクトリック系が多数でした。
その鈴木さんがインターネットショップを続けながらも実売の店舗をつくったのがこのFTARRIです。
実は私は初めて訪れました。しらないCDばかりでした。このごろの傾向はどんなん?どんなんが売れまっか?とか情報収集をしていると聴衆がポチポチとやって来ます。
やはり、鈴木さんに似ている人ばかりのような印象です。CDが好きなのでしょうね。演奏後もほとんどの人がCDをチェックして、購入していきます。
マーク・ドレッサーさんから頼まれたイートン・タイラーさん、私がかつて2回参加したハワイコントラバスフェスに参加したという日本人のベーシストが聴衆にいました。ちょうどバール・フィリップスさんからmailがあり、パリではバールとジョエル・レアンドルのデュオが繰り広げられていたそうです。身体の不調を乗り越えたジョエルはガンガン弾いて、自分は伴奏のようだった、とのこと。なにか目に浮かびますね。何があってもベーシスト同士はわかり合える部分がとても多いのです。