ホフハイムから

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ルーマニア入りしてからずっと真夏の気候でした。この地にしてみればそれまで洪水が起こるほどの悪天候だったので、街行く人は、みな、どんな高温でも歓びに満ちていました。そして一週間が過ぎたあたりの今日は朝から曇りがち。稲妻を伴った豪雨も降りましたが、後は好天。帰って涼しくて良い感じです。

 

ジャンにケルンまで送ってもらってセバスチャンと待ち合わせしてフランクフルト近くのJazzKellerというオルタナティブなスペースに直行。ここにも好き者が何人も待っていてくれます。エイドリアンというオタク?は日本の出来事を私以上に知っていました。9月ロンドンにマージナル・コンソートの今井和雄を聴きに行きたいんだとか、沢井一恵はすごいよね、とか、バールと井野さんとテツさんのCDは良かったとか、言っています。ブルーポールズオブリアなどという私の最初期のCDが良いね、などとも言ってくれています。こちらはほとんど忘れています。これこそCD製作の本懐なのかもしれませんね。

 

道中、セバスチャンといろいろ話します。ケルンの音大で初めてジャズの講座ができたこと、ハイデルベルグには米軍基地がありそこでアメリカンジャズが流行っていたこと、FMPとはまったく違うジャズの流れがあり、そこからインプロに行く人もいること、ペーター・コバルトの影響が彼らの世代にとって非常に大きいことなどを改めて知ります。

 

ペーターさんはあるとき、一年間外国へ行くのを止め、ORT(自宅・スタジオ)で100回以上のコンサートやワークショップをしました。もはや伝説です。その時に、セバスチャンもブッパタールのグンダさん(バイオリン)クリストフさん(バイオリン)らが音大に通いながらインプロに染まっていったという事実。この三人は同世代です。(コバルトさんは翌日に待ちかねたように外国に行ったそうですが・・・・)

 

たったひとりの意識がこうやって拡がっていくのです。ひとりでも淋しいわけではないのです。やり続けることがいかに大事なことかを教わります。そして、今日、私がここにいて、ペーターさんのメイン楽器を弾いているのです。(この楽器はセバスチャンが譲りうけたものです。私のソロCD「ORT」はペーターさんのサブ楽器でした。ペグも木でできています。ガット弦に張り替えると実に上品で洗練された音が出ます。ペーターさんのイメージと真逆です。勉強になりますねーーー。

 

思えば昨年もこの楽器をベースマッスで弾いたのでした。そのCDが↓

bass masse

そして、Gliggレーベル(http://www.gligg-records.com)からもう一つ注目すべきCDが出ています。それが↓

cross bow

スコダニビオ亡き後、注目すべき次世代ベースが揃っています。

ジョン・エックハルト、クレイトン・トーマス、セバスチャン・グラムス、ジリ・スラヴィックそしてバール・フィリップス。録音はバールの自宅 サン・フィロメン教会。

 

ジリさんはISBで会いました。アメリカンアクセントの英語、ジャズスタンダードが根っから好きそうな感じ、we shall overcomeのアレンジ、と私は彼のことをてっきりアメリカ人と思っていましたが、そうでなく、ユーゴスラビアの外交官の家に生まれたので各地で育ったのだそうです。そして最近バールが愛用していた5弦ベース(初来日の時のベースですね)を譲り受けたのだそうです。バールの最近の仕事はいろいろな意味で「受け渡し」になっているようですね。私が多く学んだ点です。

 

そうそうセバスチャンは先日ドイツナンバーワンベーシストとして賞をもらいTV中継。スーツを新調したそうです。二人の子供達が大喜び。働き盛り。

 

 

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