本番無事終了。
オルタナティブな感じの地下スペース。朝から南さんのスタッフが掃除と照明にかかり切りです。私はレンタルベースを何とか手なずけなければ。
実は、ルーマニアはコントラバス製作で大変有名なのです。新大久保あたりの楽器店ではルーマニア製のコントラバスを安価に(時には弓付き)で販売していて、「ちょっと買ってみようかな?」という人が多く買っています。入門用の楽器とともにオールドフィニッシュでも有名。オールドフィニッシュとは、新品なのにオールド楽器に見えるように細工をしています。ちょっと見には本当にわかりません。ともかくいろいろな努力をして販売を進めている所です。バールさんに「ルーマニアからドイツに入る」と言ったら「楽器でも買ってくるのか?」と言われました。
私の所にきたものは2013年製で木を黒く塗ってあります。所謂入門用ど真ん中。ほとんど使用していないので、調整もしてありません。なかなかキビシイ戦いになります。とりあえずガット弦を張ってみます。弦高が高くてなかなか弾きこなせません。ムム。駒をいじるわけにも行かず(下手をして魂柱が落ちては演奏不能になります)ともかくこれで行く覚悟を決めます。Enjoy the difficulty!
朝から劇場入り(と言っても、宿泊先から徒歩4分ですので、ホテルの部屋が楽屋のように使えます)。
楽器とゆっくりと仲良しになり、リハーサルをして、本番。南貞鎬さんのソロ15分の後に私が出て行ってデュオ20分即興です。
演劇祭ですので、演劇(作り物)に慣れている聴衆は、即興と演出の違いに戸惑っているようです。即興に見えるような演出をしている、とまず思うようです。こちらは「生まれたて」の即興を重ねていくと徐々に浸透していったようです。私の敬愛するポーランドの演出家カントールの舞台でも即興的演出と練られた演出の差がわからなくなる時が一番ドキドキします。
終わるや、何人かがスタンディング。あっけにとられた人も多数。しかし、私が片付けを始めると何人もの人が「よかったよ」「おめでとう」と声をかけてくれました。そして「カンサハムニダ」と言ってくれるルーマニア人も何人もいました。そうです。この舞台は韓国の舞台なので、私は韓国人に思われていたのです。
ゆっくり最後の食事をしてホテルに帰るときにはフェスの終わりを告げる花火が盛大に打ち上げられました。広場ではサルティンバンコ。なんと豪華な。シビウ国際演劇祭。ますます謎が深まります。