Deep Tones for Peace
ISB最終日。Deep Tones for PeaceにGEN311のメンバーが全員参加することになりました。私の参加はもともと言われていましたが、私だけでなく全メンバーに体験してもらいたいと伝え、それが通じました。もともとこの企画はGEN311 のDVD+CD+アートブックを出したイスラエルのKadima社のJCジョーンズさんが始めた企画です。彼は今回体調が整わずISB参加を断念。いままでもイスラエルとアメリカをネットで繋いで演奏したり、いろいろこの企画を続けています。日本は、イスラエル、アメリカと同様、平和を願う資格が備わりすぎているほどでしょう。
Diana Gannett, Michael Klinghoffer, Jiri Slavik, Bertram Turetzky, Henry Grimes, Jorge Roeder, Jeff Campbell, Hagai Bilitzky,Mark Dresserというメンバーの中に参加するのですから、身に余る光栄なわけです。
責任者はマークさん。彼の曲がメイン扱いになっていて、複雑な曲を2時間のリハでやってしまいます。
左からジェフ、ホルヘ、真佐雄、和弘、ハガイ、高志、ヘンリー、徹、バート、ジリ、マーク、ミカエル、パール、ダイアナという並び。311メンバーはコーフンしています。パールは恩師ダイアナの隣です。レンタル楽器の調整がなかなかつかず、リハが開始する直前にやっと5人分借りることが出来ました。それが幸いしてか、真佐雄は憧れのジェームズ・コーンという1000万円の楽器を弾いています。ラッキーすぎて怖い。
ビックリ、しかも感謝したいのはマークさんです。彼の曲のソロの割り振りを311メンバー全員に与えてくれています。しかもです、しかも、5人のキャラクターをしっかり把握しているのです。例えば和弘には高音でよく歌うフレーズが割り振られ、高志にはビートの利いた部分が割り振られ、楽譜に名前入りで
印刷されているのです。光栄です。
ヘンリー・グライムスはすべての指示を無視して?遠い眼差しでずっとフリーソロをしているし、高志のリズムにダイアナがウインクしているし、真佐雄の爆発にバートが奇声を上げるし、途中で弦311のメンバーがフィーチャーされたソロシリーズが突然指示されたりして、これは現実か?夢か?分かりません。終わった今でも分かりません。ハイ。
ジリの曲は「we shall overcome」を題材にして独自の編曲を施していました。やっぱりジリはアメリカンスピリットを体現している若者なのですね。バートの曲は打楽器的な音ばかりで楽しく構成されていました。
急に、「終わった感」が身を包みました。やっぱりベルギービールで祝杯。しかし、すぐにベース漬けに復帰、昨日スコダニビオ演奏で魅了したDaniele Roccatoさんのソロ、バッハ二番、ヘンチェ、グバイドゥーリナを真摯に演奏。派手さはないのですが、グッときます。これもイタリアの一側面なのでしょう。
ヘンリー・グライムスのソロ、フリージャズソロを45分1本。芸高・芸大とクラシック路線一直線だった和弘が「魂を持って行かれた」と感動し、CDをすべて求めていたのがとても印象的でした。私にしても、その直後の超テクニックカルテット(BAD BOYS と戯けたネーミング)の演奏が、最高度のベーステクニックを駆使していても、お気軽なエンターテイメントにしか聞こえなくなってしまいました。ヘンリーの演奏は「死」「詩」が支えているのに対し、カルテットは「死」「詩」が希薄なのでしょうか?
ヘンリーはジュリアードを出ていて、ESPディスクやアイラーとの共演で著名になりましたが、60年代末にはシーンから消え、亡くなったとさえ言われていましたが、40年後に「発見」されウィリアム・パーカーがベースをプレゼントして演奏活動を再開したという伝説そのもののような人です。
New Music Summitシリーズをキュレートしたマークさんの慧眼と努力でヘンリーさんをISBに呼んだのでしょう。素晴らしい演奏と同時に素晴らしい企画だったのだと思います。
夕食は学食で食べるのをやめてタイ・ラオス料理店へ。(学食で毎日3食のカードを購入していました。しかし、夜もハンバーガーなどのアメリカン食というのを、さすがに最終日は避けたかった日本人です。)
最終の夜の公演はクラシックがJoel Quarrington ジャズがVictor Wootenでした。明日の朝4時にタクシーを呼んでいるのでいったん寮に帰りかけましたが、やはりベルギービール店へ行って二杯だけ飲んで、パッキング。終わったーーーーー。