ロチェスター5日目
まず、Zbigniew Borowicz さんのリサイタルへ。Zbigさんは陽気な人で会うといつも談笑に花が咲きます。奥様が日本人、ポーランド生まれ、ケベック在住。いつもへんなTシャツを着ています。ステージにピエロの赤い鼻と、Tシャツ、金色の紙で作った蝶ネクタイで現れました。曲はボッテシーニの一番とアルペジオーネソナタというコントラバスレパートリーのど真ん中でした。カルカッシという名器での演奏。
寮のあるビルの中にある社交場のような空間でDavid Murrayさんのバロックダンスのワークショップ。ちょっと遅れて入ったらそのまま輪の中に入ってバロックダンスを踊ることになりました。我がメンバーも全員入ります。日本に居るときとは違うのでドンドン積極的になっています。バッハ無伴奏チェロからブーレ、メヌエット、サラバンドを簡単な足運びを教えてもらい円になって踊るのです。デイビッドさんの温厚な性格で和気あいあいと進みます。たしかに踊りながらだとバッハの曲の演奏がよく分かります。片方の足をステップしてスウィングするときの感じとか、ステイから動き出す感じ、細かくわけた足取りと曲の関係などの感覚がよく分かりました。
(一番上の写真がバロックダンスです。)
昼食後、Adam Ben Ezraさんのソロ、YouTubeで人気の彼は、イフェクターを駆使して一人でアンサンブルを作り、歌を歌ったり、フラメンコ風の演奏をしたり、基本に現在流行の要素をいれるので、人気がありました。一人でやることに意義があるのか、カラオケを使ってやることとどういう違いがあるのかなど考えましたが、これを実現するための彼の時間とエネルギーは評価したいです。ベーシストは真面目な人が多いのでしょうかね?
引き続き同じ部屋でHaggi Cohen-Miloの中東の音楽とリズムというレクチャー。中東からブルガリアに渡る地方の音楽とリズムを解説してくれます。5拍子、7拍子、10拍子、11拍子と私の好みにピッタリの音楽がの解説されます。10拍子を4.5拍と5.5拍に分けたりすると急にわかりにくくなりますが、聴いている限りは自然に流れるシンプルなリズムです。ポール・サイモンやスティングがいかにこういうリズムを全くそのまま使っているかなどを分かりやすく並べて教えてくれました。
引き続き同じ部屋で(この部屋はNew Music Summitのシリーズでマーク・ドレッサーさんが仕切っているのです。)Hagai Bilitzkyさんのソロ、彼も中東です。 Eの音とDの音の4分の1音低い音を完璧に使ってなるほどのソロです。瞑想的だったり、歌謡的だったり、タクシームも見事でした。
(後ろ姿がマークさんです。)
私にとって今年のISBの最大の特徴はジャズ・クラシック以外の音楽が大きくフィーチャーされていることです。当然、参加者もアメリカ人、ヨーロッパ人以外の奏者が増えています。これも大きな流れなのでしょう。
続いてRobert Blackさんのリサイタル。1960年代の現代音楽とこれが世界初演になるオーストリアの作曲家による作品。ロバートさんは本当に天才的な奏者です。バング・オン・ア・カンでも弾いていますし、ケージの竜安寺もすばらしい、日本にも中馬さんのダンスで来たことがあるといいます。カッコイイし、上手いし、人柄もいいし、こういう人に会うと落ち込むかと思いきや、逆にうれしくなり、ポジティブになることが出来ます。(今回会う、マーク・ドレッサーさん、ジョン・クレイトンさん、バートラム・ツレッキーさんも同じです。ジャンルではないのです。音楽は人。)
5時から最後のリハーサルをしました。みな慣れない楽器に四苦八苦していますが、関係ありません。このISBコンヴェンションという成り立ちが、「良い演奏を聴かせてアッと言わせよう」とかでは全くなく「どれだけベース界に貢献できるか」ということが大事なことが、初参加のみんなにも直ぐに浸透したようです。うれしいものです。
細かなトラブルのあり、1日にたくさんの音楽を聴いたので私は夜の大ホール演奏会はキャンセル。部屋で休みました。明日は本番です。